さすがに稽古場にはずっとはいませんが、公演中は劇団と楽屋を行ったり来たり。
組旅行にも唯一参加できるのがお父ちゃんであったり。
いつ頃から生徒監が存在するのか、なぜ“お父ちゃん”と呼ばれるようになったのかはわかりませんが、この呼び名から、いかに生徒がお父ちゃんに対して親しみを持っているかがおわかりいただけるでしょう。
ただ顔を合わすだけで安心できる存在。甘えられる存在。仕事を忘れて接することのできる唯一の人。
何かをしてもらうだけじゃなく、生徒にとって、なくてはならない存在なのです。
宝塚音楽学校にも生徒監はいます。ただこちらは、文字通り生徒を監督し指導するといった感じの教頭先生のような存在です。
どんなにベテランのお父ちゃんにも“お父ちゃんデビュー”の時期がありました。
就任したての新・お父ちゃんは覚えることがたくさん。
宝塚歌劇団の、またはこの業界の様々なシステムや生徒監としての業務内容と共に、まずは生徒たちの名前と顔を覚えないことには仕事ができません。
名前と顔と言ったって……名前は、結構読みにくかったり覚えにくいものが多い! 芸名だけじゃない、本名も愛称もあります。
顔は、舞台化粧をすればみ~んな同じに見えたり、別人のように変わったり。
組子は約80人。新・お父ちゃんは、名前と顔を覚えるだけでも大変でしょうね。
その80人の娘たち、まだまだ危なっかしくて可愛いひよっ子もいれば、お父ちゃんが見上げるほどの背の高さの逞しい娘も。年齢も様々(?!)。
でも共通しているのは、みんな人懐っこくって甘えたなところ。最初からいきなり「お父ちゃ~ん!」「これ、お願いします~」とやってきます。
そしてみんな、お父ちゃんに対してとても優しい。
お父ちゃんは、みんなの大好きなお父ちゃんなのです。