遠野あすかスペシャルブック LA DONNA (C)阪急コミュニケーションズ |
遠野さんも安蘭さんと同じく、早くからトップになる日を期待されていたにもかかわらず、二番手時代の長かった人でした。
でもこの二番手時代の様々な役は娘役としては比重の大きな役ばかりで、舞台を支えると共に、それが彼女のその後につながったのでしょう。
令嬢。王女様。女海賊。人妻。女優。
その度に声も化粧も全く違い、同じ人とは思えない引き出しの多さに驚きます。
特に“宝塚の娘役”っぽくない役……『マラケシュ・紅の墓標』のイヴェットや『コパカバーナ』のコンチータは、助演女優賞モノでした。
大人のようで少女のような。繊細なようで大胆。強いようで儚い。何ともいい表情をする、とても不思議な魅力を持った舞台人――女優――でした。
安蘭けい&遠野あすか
抜群の歌唱力の二人です。聴いていてまず気持ちがいい。そして感動。『THE SCARLET PIMPERNEL』など、この二人でなければ誕生しなかったのでは?
そして熟成された豊かな香りと“酸いも甘いも噛み分けた”風の二人ならではの大人の雰囲気。二人の間に流れる適度な緊張感と距離感と信頼感。
素晴らしい舞台を創り上げ、後進を育てました。
こんな二人だからこそ、この二人で観てみたい作品はまだまだたくさんありました。それが残念です。
尚、次期星組トップコンビは、星組の柚希礼音さんと夢咲ねねさんです。
安蘭さんと遠野さんのこの先は……これほど力のある二人です。きっとまた、女優として私たちの前に現れてくれることでしょう。なので「またね!」。
宝塚歌劇の宝と道を作った偉大な二人、安蘭けいと遠野あすかを、私たちは決して忘れません。
とうこ、あすか……
お疲れ様。そしてありがとう。
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