宝塚ファン/宝塚歌劇の舞台とバックステージ

これも伝統―上級生のお手伝い Part2(2ページ目)

公演本番中、下級生が上級生のお手伝いをする…。しかも自分も舞台に立ちながらのお手伝い。そこにメリットはあるの? あるんです、大いに。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド

いつまで?

では……参考までにこんなお話。


上級生Aさんは研6。本公演での出番も多く、新人公演でも主役クラスの役。

そのAさんのお手伝いに、下級生Bさんが立候補をしました。
Bさんはまだ研1。芝居での出番は2場面だけ、ショーでもプロローグとラインダンスとフィナーレだけ。お手伝いをする時間の余裕は充分あります。

2年の時が経ち、Aさんは研8に、Bさんは研3になりました。
Aさんはますます出番も多くなり、スター街道まっしぐら!

そしてBさんも、少しずつ出番が多くなってきました。Aさんと同じ場面に出る=同じ時に早替わりをすることも。


Bさんは困りました。「あの場面もこの場面も、早替わりの手伝い、できないわ…」

そこでBさんは研1のCさんに「Aさんのお手伝い、いっしょにやってくれる…?」と声をかけました。

かねてより“私の尊敬している上級生はAさん”と言っていたCさんは喜んで了解。
当の本人のAさんも、もちろん了解。

Aさんのお手伝い2代目が誕生したわけです。

早替わりはCさんが主に担当することとなり、できる範囲でBさんも。
お手伝いが二人になったという感じです。

そしてその後も、3代目、4代目と増えてゆくわけ。


上級生のお手伝いは、あくまでも自分ができる範囲で。自分の何かを犠牲にしてまでお手伝いする必要はなく、またお手伝いされる側の上級生も、決してそれを望んではいません。

でも、たとえ自分ができる範囲でも、いい加減な気持ちではできません。一つ間違えれば、その上級生を出遅れさせてしまうかもしれないし、気持ちのいい状態で舞台に出してあげることはできませんから。

自分も舞台に出ているにもかかわらず、ナゼ、お手伝いをしようと思うのか…? 
そこには、お手伝いをする労力以上に、返ってくるもの、与えられるものが大きいから。

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