代表作は何といっても、湖月わたるお披露目作品となった『王家に捧ぐ歌』のラダメス。大きなコスチュームもぴったりで、精悍で力強く、あの大きさを出せるのは“湖月わたる”以外にいなかったでしょう。
その『王家に捧ぐ歌』は2003年度「芸術祭」優秀賞を受賞。
翌年には『ロマンチカ宝塚'04-ドルチェ・ヴィータ!-』が優秀賞を受賞しました。
作品の素晴らしさはもとより、湖月わたるを頂点とする出演者の努力と密度の濃さゆえの賜物と言えるでしょう。
そして2005年『ベルサイユのばら』『ソウル・オブ・シバ!!』は宝塚歌劇団にとって初めての韓国公演でもあり、宝塚歌劇を国外に広める大きな役割も見事に果たしてくれました。
劇場という空間の中、舞台上を、そして舞台と客席の想いを一つにさせるのが実に上手かった人。
これは決して作られたものではなく、だからこそ観客は、湖月わたるを観ていて心地よく、解き放たれた感動を味わえました。
周りが光るからこそ自分が光る……全体を包み込む湖月さんの舞台からは、そんなことも感じました。
また、相手役を見つめる眼差しのこの上ない温かさも忘れられません。
これからの湖月わたるさんの道――。
退団記者会見では「大学進学を…」と異例の発言で周囲を驚かせましたが、舞台に立つ選択肢もあるようです。ファンの方々にとっては、どれほどうれしいことでしょうか。舞台に立つその姿を見せて欲しいですね。
次期星組トップスターには、『愛するには短すぎる』で湖月さん演じるフレッドの親友であり一番の理解者であるアンソニーを演じた安蘭けいさんが後任を引き継ぎます。
男役としての湖月わたるの幕は下りました。
すべてが大きな湖月わたる。その偉大な18年間を、私たちは忘れないでしょう。
……写真なんかなくても。
ワタル君……
お疲れ様。そしてありがとう。
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