◆新公本番前日(本公演終了後に新公舞台稽古)
本公演が終了する → 新公出演者のサイズに直す
新公舞台稽古が終了する → 本役さんのサイズに戻す
◆新公本番(本公演終了後に新公本番)
本公演が終了する → 新公出演者のサイズに直す
新公本番が終了する → 本役さんのサイズに戻す
わかります? 2日の間に、何度も直したり戻したりしなくてはならないのです。しかも、新公出演者サイズに直す時、わずか二時間弱しかありません。ウエストのホックを付け替える程度ならいいですが、丈を上げるなんて作業は大変。それが何十着もあったら?
つまり衣装をお直しするというのは、衣装部さんの手を非常に煩わせることになってしまうのです。違う人間が着るのですから、サイズが合わないのは当たり前とわかっていても、借りる側の生徒さんは、なるべく“お直しナシ”で着たいと思うわけです。
『エリザベート』の新公で“トート”を演じる人は、間違いなく“トート”の衣装をお借りします。そしてお直ししなくてはならなかったらお直しするしかありません。このように、役名のついた役など、どーしてもこの衣装を着なくてはならない人は仕方がないです。
でも、お直しを少なくするために、こんな手があります。それは……全く同じ衣装を着ている人が数人いる役ってありますよね。数名の“ダンサー”とか、数名の“紳士”とか……。そんな時です。例えば……
“紳士”が3人います。衣装は3人とも同じ。本役Aさん、本役Bさん、本役Cさん。それぞれに新公Aさん、新公Bさん、新公Cさん。本来なら本役さんの衣装をお借りするわけですから、新公Aさんは本役Aさんの衣装を借りるべき。
でも、新公Aさんが本役Bさんの衣装を、新公Bさんが本役Cさんの衣装を、新公Cさんが本役Aさんの衣装を着れば、お直しせずに済む。だとしたら……? 同じ衣装なんだから、とりかえっこしていてもわからないでしょ?