宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

花組トップスター・匠ひびき―退団(3ページ目)

2002年6月23日――花組トップスター・匠ひびきさんが宝塚歌劇団を退団されました。苦痛を乗り越えてのラストステージに、多くのファンが涙しました。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド

実はこんなご意見をいただきました。「満足な舞台を見せられないのに、それが舞台人と言えるのでしょうか…? 舞台って何ですか?」――。それについて論じれるほど私は賢くも強くもありませんが、私なりの思いを述べさせて下さい。

本来の舞台の形は、作品のストーリーやテーマ、役者の技量を伝えるものでしょう。観客が感動して涙を流すのもストーリーからだったり、舞台の上にいる人間が涙を流すのも演技によって。そういう視点から見ると、今回のケースは違ったかもしれません。しかし、それだけが舞台の形でしょうか?

観たいと思う観客がそこにいる……。そして何かを強く感じることができた……。これも立派な舞台の形だと思います。舞台を観て、そこから何を感じるかは人それぞれで、何を感じたくて舞台を観るのかも人それぞれです。チャーリーが今まで歩いてきた道を感じ、感銘し、それに涙を流す観客が大勢いる……そう感じさせることのできるチャーリーも、立派な舞台人です。

「事情を何も知らずに、この一週間に初めて宝塚というものを観たお客さんは、満足に踊れないスターをどう思うでしょうか?」というキビシーイご意見もいただきました。初めて観たお客さん…つまり、これから宝塚のファンになるかもしれない人。その方々も確かに大切です。でもね、今の宝塚を応援してくれているのは、今ここにいるファンの方々。そちらの思いを優先させてもいいでしょ?

甘いっ!と言われるかもしれないけど、こんなことが許されるのは、宝塚だけじゃないですか? そして私はこれを“宝塚のよさ”と思いたいです。
と……以上は私の勝手な思いです。(反論のメールがこ、怖いなぁ~……)


「退団後は女優転身」といううれしいニュースも入っていますが、男役そして花組トップスター・匠ひびきさんは、15年間の男役の美学を痛いほど見せつけ、去ってゆきました。彼女から何かを感じた人々は、それを忘れることはないでしょう。

チャーリー、お疲れ様。
しばらくはもう何も頑張らないで、休んでくれますか?

様々な彼女の苦痛を知るたびに「かわいそう……」とずっと思ってきましたが、今は違います。
「シアワセなトップスターだったな……」。


<関連サイト>
●産経新聞 ENAK流行+芸能
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