宝塚の作品のタイトルには、その作品の方向性を示すサブタイトルが付きます。宝塚グランドロマン、ミュージカルプレイ、ショー、グランドレビュー、グランドショーetc……。
レビュー(当時はレヴュー)というサブタイトルが初めてお目見えしたのが『モン・パリ』~吾が巴里よ~。1927年(昭和2年)9月1日のことでした。これが日本で初めて上演されたレビューです。
『モン・パリ』が上演される頃の宝塚はどんなものだったのかしら? 作品名とサブタイトルから想像してみましょう。
お伽歌劇 ―― 『猿蟹合戦』『ピーターパン』『欲張り婆さん』
歌劇 ―― 『曾我兄弟』『八橋焼』『愛の復活』
バレエ ―― 『ドナウの流れ』「春のをどり』『孔雀物語』
喜歌劇 ―― 『品行診断』『街の近代人』『顔よし男』
高速度喜歌劇 ―― 『これは不思議』……なんてのもありました。
洋物を上演していたことはもちろん確かですが、う~ん……。まぁ、これが時代?
そこに! 幕なし16場の巴里の香り漂うレビューの登場ですから、観客は驚いたわけです。ストーリーを重視するより、場面をどんどん替えて観客を引き込む、音楽はジャズバンドにした、今や宝塚のシンボルとなっている大階段も登場します。ラインダンスも『モン・パリ』が初めて。この汽車のラインダンスは有名ですね。「こーゆう舞台が世の中にあったんだ……」そう思われたのも当然でしょう。