化粧! 化粧しなきゃ舞台に出られないよぉ~! とりあえず化粧! ぎぃえ~もう開演30分前! “代役します”という挨拶を楽屋中回らなきゃ!
楽屋のこの大変状態は決して1人では乗り越えられない。みんなが助けてくれる。休演者の同期生、自分の同期生、それから同じ場面に出ている人。
それは幕が開いてからも同じ。出番寸前まで振りを教えてくれる人、セリフや歌を合わせてくれる人。舞台で踊りながらも「次、上手に動くよ」など小声で教えてくれる人、芝居の動きがあやふやな時、芝居しながら行くべき位置に連れて行ってくれる人。
花道や袖から見守ってくれる人、“大丈夫!”と勇気をくれる人。しばらく代役をするとわかったなら、終演後のお風呂上りに振りなどを合わせてくれる人。
そこには上級生下級生の区別なんかなく、みんなが一丸となって『この舞台を無事成立させよう。いつもと同じように』という団結のパワーがあふれている。この日初めて宝塚を観劇するお客さんもいる。“宝塚のダンスって、振りが揃ってない……”とか思われたくないもの!