女性が男役を—異性を演じるには人知れぬ努力や鍛錬、センスが必要。なら、元々女性が同性を演じるのは簡単? それが違うのが「娘役」!

娘役のよさって何だろう……。可憐—美しさ—清純—色気—艶っぽさ——娘役にもいろんな顔があります。同性を演じるけれど自分とは違ういろんな顔を演じる。そして相手は女性が演じる男役。そこに娘役を作るおもしろさ、快感、苦労といった奥の深さがあるのかもしれません。

男役が声の出し方や所作、化粧などを勉強するのと同じで、娘役も音楽学校時代から訓練します。本当は女性である男役さんより女らしくならなくてはならないのですから。基本形はより高い声や女らしい立ち居振舞い、かわいく見える化粧。そしてもちろんそれがその役によって変化していくわけです。

オフの娘役には“妻”のイメージがあります。特に常にトップ男役とコンビを組むトップ娘役には。男役の少し後ろに控え相手を気遣うような光景は、稽古場や舞台袖で目にします。しかし一歩舞台に出てしまえば別。決して影の存在になる必要はなく、お互いが相手の良いところを引っ張り出し輝き合うのです。デュエットダンスなどで、いかに娘役をきれいに見せられるかと男役が苦心するように。

娘役を経験して苦労したこと——たくさんありますが、公演ごとに大変だったのはほとんど自前のカツラとアクセサリー。役や場面ごとに変えるカツラやアクセサリーを舞台稽古までに考えるのは楽しい反面、一苦労。カツラのセットをしてくれる美容院に行き、役や衣装を説明してデザインを考えていく。アクセサリーや髪飾りはお店で買ったり自分で作る人もいます。