ドラマ/夏ドラマ情報

7月概況:高齢化社会を斬る『任侠ヘルパー』

かつてないほどばらけてスタートする夏ドラマ、7月スタート分で印象的なのは高齢化社会を意外な切り口からするどくえぐるこのドラマです。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

かつてないほどばらけてスタートする夏ドラマ。8月になって始まる『こちら葛飾区亀有公園前派出所』『オトメン』『救命病棟24時』が残っていますが、いつまでまってもキリがない。まずは7月スタート分についてまとめておきましょう。

グラフはいつもと同じく縦軸が記事を書いている時点で最新の7月22~28日の視聴率、横軸は初回視聴率と最新視聴率との差で、初回視聴率はなにも見ていない段階での期待値だから、初回視聴率との差は最初の期待からどれだけおもしろかったか、またはつまらなかったかを示すはずです



フジ・ワンツー

トップグループにいるのは『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー』、ひさびさに月9らしく恋愛ドラマの王道をいく作品です。これが10年以上前ならもっとヒットしていると思うんですが、現在では15%弱というところでヒットかそうじゃないかの「崖っぷち」にいます。
前作の『婚カツ!』が低迷していたとか、長年前後で引っ張り合ってきた『スマスマ』も往事の勢いがないということもあるでしょうが、それにしても盛り上がってない。もはや恋愛ドラマの時代ではない、ということでしょうか。
それでも主人公・上矢直輝(山下智久)の草食ぶりや白河莉子(北川景子)と海老名麻衣(貫地谷しほり)のガールズトーク、そして七海菜月(相武紗季)の「大人」なキャラなど現代的な要素を盛り込み楽しめます。

続いて『任侠ヘルパー』。連ドラにするのが難しい「老人介護」というテーマを極道という意外なものとぶつけることで真正面から描き、かつ主人公は「いい人」キャラの草なぎ剛というひねり方が効いています。
ただ全体のタッチがシリアスで、極道をあまりにもよく描きすぎなところが気になります。現実の暴力団はいけないが「弱きを助け強気をくじく」昔気質にはいいところもある、という主張でしょうが、深夜やVシネならともかく22時台のドラマとしてはカッコよく描きすぎのように思えます。真正面から描くところが魅力なのですが、テレビドラマの影響力を考えると『ごくせん』の大江戸組や『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』の関東鋭牙会のようにコメディ要素も入れた方がいいんじゃないでしょうか。
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