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2008年ドラマベスト5は「信じて待つ」(2ページ目)

恒例企画、今年のドラマを通して2008年を振り返ってみましょう。最初に結論をいっておくと今年のドラマ、最大のテーマは「信じて黙って見守ること」だと思います。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

3位『風のガーデン』

 オリジナル・サウンドトラック 風のガーデン
オリジナル・サウンドトラック 風のガーデン
倉本脚本で繰り返し描かれるテーマとして「生と死」「父子関係」と「東京中心の社会への批判」というのがあります。最後?(本当に最後かは断定してませんが)のドラマとしていままで繰り返し描いてきた前二者を強く描き、文明批判面はあまりなし。
これまでのパターンだと二神達也(奥田瑛二)の事件がもっと本筋にからんでくるんですが、今回は同じように死んでいくという立場がポイントでした。文明批判的な面を入れると、説教くさくなったり微妙に時代とずれていたりするのが気になることが多いんですけど、今回はその問題はありませんでした。

また「死」については、これまで主人公にとって一番痛いタイミングで主要登場人物を死なせるパターンはよく描いていましたが、主人公みずから病気で死んでしまうというのはかなりめずらしい。深刻になりがちなテーマですが、そんな中でも同窓生たちによる「生前葬」などシニカルな笑いも散りばめ重くみせません。同時期の宮藤官九郎脚本『流星の絆』で被害者家族の復讐というテーマを詐欺シーンの劇中劇化などにより明るく見せるのと、新旧脚本家・技の対決として楽しめました。

そして信じられなくなった父子の和解。死を向かう主人公を演じた中井貴一に、先に息子に逝かれる父役であるが自らの病気を隠していた緒形拳、二人の演技も見応えがありました。

緒形拳の遺作としてはもう一つ、NHK広島開局80周年ドラマの『帽子』も心に残る作品でした。

2位『フルスイング』

NHK フルスイング DVD-BOX
NHK フルスイング DVD-BOX
今年は『ごくせん』『ROOKIES』『太陽と海の教室』など「夢」を語る教師を主人公にした学園ドラマが目立ちましたが、その流れの先駆けでかつもっとも説得力があったのがこれ。

「だいじょうぶじゃ」と生徒を信じてうけとめてくれる高林先生(高橋克美)、今どきでは考えられない熱い教師で、これが実話ベースというのがすごい。
特に教育実習にきた初回、最初は「夢を語ってくれ」といっても生徒たちはさめていたのが、写真をとることで距離を縮めて、最後はみんな争って夢を語るようになるところが圧巻です。

『フルスイング』のよさは毎回とびだす名台詞によく現れているので抽出しときます。

「夢は君らが迷ったとき、道を照らす星になってくれるんじゃ」
「きみらの夢を応援しとる人間がな、この世に最低1人はおるっちゅうことをぜひおぼえておいてほしい」

「結局は子どもたちが自分で答えを見つけるしかありません」
「大きな耳、小さな口、優しい目で待つんですわ」
(うざいといわれて)「わしにはホメ言葉じゃ」
「アドバイスは答えじゃありません、結局は子どもたちが自分で答えをみつけるしかありません。立ち止まってたら答えはみつけられんです。立ち止まらせないためにほめる」
「才能とは逃げ出さないこと」
「わしらは学校で先生というチームを組んでいる仲間です。チームメイトを信じんで何を信じますか」
「ソッ(口ヘンに卒)啄同機、卵が孵るときに親と子、師匠と弟子のタイミングが合うことが理想の指導ということです」
「わしゃどんなにうざいといわれようがあいつのそばについててやりたいんです。あいつには逃げずにちゃんと前を向いてほしい」
「苦言を呈したものは大きな責任を伴うことになる。時にその言葉は相手の人生を左右しかねない。人にものを教える資格のあるほんものの教師になること。なかなかむずかしいものですぞ」
「あきらめん気持ちこそ気力じゃといいたい」
「気力は人を思うことで強くなる、思われることでもっと強くなる」

さていよいよ1位の発表です
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