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2008年ドラマベスト5は「信じて待つ」(3ページ目)

恒例企画、今年のドラマを通して2008年を振り返ってみましょう。最初に結論をいっておくと今年のドラマ、最大のテーマは「信じて黙って見守ること」だと思います。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

1位『ちりとてちん』

ちりとてちん 完全版 DVD-BOX I 苦あれば落語あり
ちりとてちん 完全版 DVD-BOX I 苦あれば落語あり
近年の朝ドラのヒットパターンは『ふたりっ子』あたりから始まる「出だしは子役で注目させて前半は恋愛がらみで盛り上げ、後半はその勢いでおしまくる」というものでした。
しかし『ちりとてちん』、最初はそんなに盛り上がりません。なにぶんよくいえば前向き、悪くいうと脳天気な朝ドラヒロインの中で和田喜代美(貫地谷しほり)は真逆のネガティブシンキングキャラ。
しかし『ちりとてちん』は尻上がりにおもしろくなっていきます。ポイントは実家の家業が伝統若狭塗り箸なことが「塗り重ねたものだけが模様となって現れる」というメインテーマにつながることに代表される、細かい設定や過去のストーリー、劇中で演じられる落語の演目がいちいち本筋にからみあってくる、信じられないぐらいの伏線の多さです。
ガイドが一番好きな伏線は徒然亭小草若(茂山宗彦)が初登場時から多用する「底抜けに~」のギャグ。これは小草若が落語に開眼する演目が「はてなの茶碗」(はてなの茶碗は穴があいてないのに水が漏れる、つまり「底抜け」)であることにつながってます。

朝ドラに限らず、こんなに伏線を張りまくってここまでストーリーをつないだ連ドラというのは見たことがありません。ただそれは問題も生んでいて、初回から真剣に見ていないとおもしろさがわかりにくく、ながら見やとばし見ができません。そのため関東での平均視聴率は最低記録を更新しています(その後『瞳』がさらに更新しましたが)。まあそれはしょうがないでしょう。どちらかというとDVDで繰り返し見るべきドラマです。

もう一つ問題なのはヒロインが子どものために落語家をやめるというラスト。それでいいの?あれが真の結末とは思えませんね。三人の兄弟子を主人公にした外伝『まいご三兄弟』はありましたが、本編の続編を希望します。

そしてこのドラマも落語修行で「いかに教え学び育てるか」というのが大きなテーマ。草若師匠(渡瀬恒彦)も多くを語らず「信じて黙って見守る」スタイルでした。おもしろかったドラマでこうもテーマが共通しているということは、たぶん今年の日本で重要なことだったんでしょう。

一年を通して

篤姫 完全版 第壱集 [DVD]
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NHKドラマをワンツーとしましたが、NHKにはまだ民放の連ドラを抑え今年の連ドラ最高視聴率を記録した『篤姫』もあります。『篤姫』とニュースと北京五輪により4~9月のゴールデンタイムの視聴率も民放を抑えてトップだったそうで、テレビ局別に見てNHKの勝利といっていいでしょう。

その要因は制作費。NHKは不祥事による受信料不払い問題を脱し、また問題を乗り切るためにより視聴率を意識した制作体制に変わってきました。それに対して民放は景気の悪化により広告収入減に苦しんでいます。
民放も来年もこのままではじり貧。最近は映画で稼ごうとしているテレビ局ですが、今年の連ドラで来年、映画版が公開されるのは『SP』と『ROOKIES』の二つ。しかも『SP』は総監督を『踊る大捜査線』の本広克行が担当、『ROOKIES』は伸び盛りの若手男優オールスターキャストでドラマが始まる前から映画化する気まんまんに見えました。
『ごくせん』三期生の卒業を映画化するという噂がありましたが、先日テレビスペシャルとしての放送が発表されました。あと映画化しそうな盛り上がりがあったのは『ラスト・フレンズ』と『コード・ブルー』ぐらい。前者は上野樹里が『のだめ』映画版が決まったのでないでしょう。『コード・ブルー』は新春スペシャルがあるのでその後、発表する可能性はあります。

ともあれドラマが盛り上がらないことには、それを映画化することができません。来年の奮起を期待したいところです。
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