裏で支えていたのはそうするとスタッフ面での問題は、メイン演出だったベテラン井下靖央Dが昨年5月、肺ガンでお亡くなりになって第7シリーズでは途中降板したことではないかと思います。井下Dはシリーズ当初からメイン演出をつとめ、第3シリーズでは石井ふく子Pが脱税問題で前面に出てこれないためプロデューサまで担当し、『渡る世間』シリーズを裏で支えていました。 『渡る世間』以外にも下表のように名作を数多く手がけているのですが、いま一つ損をしているのが『想い出づくり。』や『ふぞろいの林檎たち』といったドラマで鴨下信一Dと共同演出だったこと。TBSの看板演出家として常務にまでなった鴨下Dの陰に隠れた面があります。しかし「ドラマのTBS」を支えた重要な一人です。
意外な関係ちなみに井下Dのことを調べていてわかりましたが、『喰いタン』で協力プロデューサのアベク・井下倫子Pは一人娘なんだそうです。なるほどアベクは木下プロからメンバーが別れてできた制作会社で、木下恵介人間の詩シリーズ『それぞれの秋』では阿部祐三・アベク社長も演出をしているからつながっています。またテレビ朝日、橋田スペシャル『夫婦』出演の京野ことみは裏の『喰いタン』で警部役だからその週はお休み、次の週の土曜ワイド『ユニット』は伊東四朗出演で『喰いタン』署長役はまたお休み、と『喰いタン』が妙にテレビ朝日に協力的なのが気になっていました。 少なくとも前者は石井・橋田組と井下父娘でつながりがあったんですね。それが原因かはさだかではありませんが。 むずかしい長期シリーズドラマも長期シリーズになると人的な面で続けていくことがむずかしくなります。『北の国から』は「同じスタッフではもう続けられない」と終了。 『3年B組金八先生』は第5シリーズ「ガラスの少年」から金八ファンだという若い福澤克雄Dの加入で盛り返しましたが、最新の第7シリーズでは一貫して脚本を書いていた小山内美江子が病気のため交代。 『ふぞろいの林檎たち』は山田太一が「もう連続ドラマは書かない」といっているのであるとしたらスペシャルですけど、いままで中心になって動いていた井下Dがなくなったことでむずかしそうです。 さて、4月から始まる『渡る世間は鬼ばかり』第8シリーズ、盛り返すことができるのでしょうか? なんでも東大生になった眞(えなりかずき)に美少女の恋人?(渋谷飛鳥)ができるなど新展開がいろいろとありそうですが。 関連リンク 『渡鬼』など長寿ドラマを分析、ガイド記事「ギネスに挑戦!長寿ドラマ記録」 マイホームからホームドラマを見る「家を建てる」ガイドの「間取りのヒントはテレビドラマから」 |
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