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視聴率低下の渡鬼、藤岡琢也病気降板で……

『渡る世間』の扇の要的存在、岡倉大吉役の藤岡琢也が緊急入院で4月からの新作は代役をたてることが発表に。視聴率低下で曲がり角にきているシリーズは存続できるのか?

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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『渡る世間は鬼ばかり』、7シリーズ・15年を越えて続く大人気ドラマで、この4月からは第8シリーズが始まります。
その矢先、扇の要的存在である岡倉大吉役の藤岡琢也が肺炎により入院、75才という年令もあり退院のめどはたっておらず、すでに開始している収録に間に合わないため代役をたてることが発表になりました。

第4シリーズ、大吉の妻役の山岡久乃病気の時には旅先で急死した設定にしましたが、今回はすでに脚本が14話分できているため設定変更は困難、また藤岡琢也が復帰しても第8シリーズの間は代役のままで最後までいくとのこと。

注目の代役は74才と年令が近く、石井・橋田組の舞台でおなじみの宇津井健に決定。宇津井大吉は『ごくせん。』イメージの延長でしょうか。


シリーズも曲がり角

さて、その『渡る世間』。04年4月~05年3月放送の第7シリーズから曲がり角を迎えています。かつてほど高視聴率がとれなくなったのです。

シリーズ毎の平均視聴率(関東地区)を見ると第2シリーズ以来、平均20%以上の高視聴率を保っていましたが、第7シリーズでは第1シリーズ以来の20%割れとなってしまいました。

視聴率が落ちた原因は何なのか?
コアなファン層である高年齢の女性たちにヒアリングを行いました。その意見を総合するとポイントは「世代交代」にあるようです。


生身の人間だから

『渡る世間』初期の基本構図は岡倉夫妻(藤岡琢也・山岡久乃)が5人の娘たち、弥生(長山藍子)五月(泉ピン子)文子(中田喜子)葉子(野村真美)長子(藤田朋子)たちを見守るというものでした。
しかし節子(山岡)がいなくなった第4シリーズを境に、だんだんはなしの中心は五月のいる小島家・中華料理店「幸楽」へ。五月の子ども・眞(えなりかずき)や姪の加津(宇野なおみ)の活躍がめだつようになっています。

岡倉の親子関係から大きくなった孫との関係へとドラマの中心がシフトし、保守的でいつまでも変わらないドラマを求める渡鬼ファンは違和感を感じているようです。いつまでも年をとらないアニメの『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』なら変わらず同じはなしを続けられますが、生身の俳優をつかっているつらさですね。


80才を越えて大丈夫か?

『渡る世間』が曲がり角を迎えたという理由でもう一つ考えられるのは脚本の橋田壽賀子の年令問題。1925年生まれで現在81才。もう限界なんじゃないか?と心配されます。

しかし、その心配は昨年のNHK放送80周年記念ドラマ『ハルとナツ 届かなかった手紙』を見て吹っ飛びました。少女、成人、老女の3キャスト、老女の回想で日本の近現代の女性の苦労を見直すという『おしん』と同じ得意パターンを日本・ブラジルを舞台に姉妹で展開。二人をつなぐのは奇跡的に姿を見せたさまざまな事情で「届かなかった手紙」、とさすがのデキです。

『おしん』と比較すれば、ややあっさりとして個々のエピソードの掘り下げが足りないのが気になりましたが、現時点であのレベルならまだまだ大丈夫でしょう。


問題だったのは……

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