新年度に新企画、その名の通り月ごとにスカパー!で放送されるドラマの中でおすすめドラマを紹介します。 銀河テレビ小説とは銀河テレビ小説は72~89年、月~金に放送されたドラマシリーズ(もっとも長く続いたのは「ニュースセンター9時」が終わった後の21時40分~22時)で、放送形態としては現在、23時から放送している「夜ドラ」の祖先です。「テレビ小説」の名前の通り、初期は小説のドラマ化が中心の文芸路線でしたがターニングポイントは76年の『となりの芝生』。嫁姑の本音バトルが展開され大ヒット。脚本は橋田壽賀子で『渡る世間』に続くパターンをこれで確立、銀河テレビ小説もファミリー路線が中心になりました。 ほかに有名な作品というとビートたけしの少年時代を描いた『たけしくんハイ!』や藤子不二雄が漫画家になるまでを描く『まんが道』などです。 『愛さずにはいられない』と『煙が目にしみる』それでこの4月のおすすめ作品は『愛さずにはいられない』と『煙が目にしみる』。それぞれ80年と81年の銀河テレビ小説です。『愛さずにはいられない』 大工の勝利(川谷拓三)は36才・独身で母と二人暮らし。夜は定時制高校に通い、新任教師・麗子(根岸季衣)のことを密かにすきだった。しかしその麗子、故郷で結婚詐欺にあい、いたたまれず東京にでてきたという過去があった… 『煙が目にしみる』 将棋連盟奨励会の三段の内堀(川谷)は30才。31才の誕生日までに四段にならなくては定年でやめなくてはいけない瀬戸際。しかし二連敗となり、また恋人を弟弟子に奪われてしまったショックであてもなく列車にのって放浪。山梨県の温泉宿に流れ着き、そこでフラメンコダンサーの千草(根岸)と出会う。 下積みの苦労とコンプレックス2作の共通点は主演が川谷拓三と根岸季衣、脚本がジェームス三木でさえない男と女のラブストーリーであることです。代表作は大河ドラマの『独眼竜正宗』『八代将軍吉宗』などで、エンターテイメント志向と思われがちなジェームス三木脚本ですが、底に流れているのは自身も若いころに売れない歌手だった経験から生まれた「下積みの苦労やコンプレックスを持った人に対してのやさしい視点」。 『独眼流正宗』伊達政宗は片方の目をなくしそのハンデにめげず東北の覇者となります。『八代将軍吉宗』も三男坊で大名になれる見込みのなかった吉宗の下積みの苦労とその子・家重の優秀な父を持つ子のコンプレックスが隠れたテーマでした。 そして「下積みとコンプレックス」というテーマがもっともはっきりでているのがこの二作です。主演の川谷拓三は東映の大部屋俳優出身で下積みが長く、根岸季衣はコンプレックスが重要テーマであるつかこうへいの劇団出身、テーマにふさわしいキャストでした。 |