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あの10代の頃の夢をもう一度 俳優デビューの夢を叶える(2ページ目)

儲からない職業の代名詞「俳優」ですがなりたい人が絶えることはありません。会社を辞めて俳優になった松下哲さんのインタビューを通して、夢を叶える方法を考えてみます。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

芝居活動とビジネス選択の葛藤

朗読劇にて
         朗読劇にて
-芝居活動再開のきっかけは?

就職したのをきっかけに、2年近く完全にお芝居から離れていましたが、休日など時間のある時にボーっとしてるのもいやだなと思い「久しぶりに芝居でも観るか」と思い観はじめたら、これが結構新鮮でたくさん観るようになりました。

で、好きな劇団なんかもできたりして、あー自分もまたやってもいいかもなあという思いが湧き上がってきたころ、学生時代の芝居仲間から誘われるようになりました。

それで、会社勤めしながら、誘われた公演に参加するようになりました。ただそれも、あくまで趣味の範疇でした。再開した時点でも、会社を辞めてまでとはまったく考えていませんでした。


-それが01年の野田秀樹演出『贋作・桜の森の満開の下』出演をきっかけに本格的に俳優をしようと変わったわけですね。たしかに魅力的な作品だと思いますが、会社をやめて、というのに不安はありませんでしたか

「『贋作・桜の森の満開の下』出演」と「会社をやめて俳優専業」』というのは自分の中ではまた別個のものだったように思います。

『贋作…』に出ること自体は、野田秀樹さんという雲の上の存在の方の舞台に出していただける、それに先述の古田新太さんが出演されているという、お話をいただくまで夢にも考えなかった奇跡的な機会でしたから、もちろん不安もありましたけど、決断に至るまであまり時間はかかりませんでした。

ただその先となると話は別でした。『贋作…』に出たからといって役者として食えるようになるわけではありません。
『贋作…』のあと、そのまま続けるのか、また再就職するかどうか、という選択をしなければなりませんでした。そのときは、とても迷いました。実際、転職紹介の会社に相談したりもしましたし。

でも、稽古や本番を通じていわゆるプロの現場のレベルの高さや厳しさを体験させてもらって、同時にあたりまえなんですけど自分の力のなさも痛感しまして、『贋作…』は正直、最後までケガもせず、降ろされずに済んでよかったー、という感じだったんですが、それだけで終わってしまうのは悔いが残るかも、自分ももっとうまくなれるんじゃないか、居場所があるんじゃないかなーと思って、もう少し続けてみようと、そこで二度目の決断をして今に至っています。

今は「贋作…」で共演した方の引き合いで知り合った事務所の方にお世話になっておりまして、おかげさまでといいますか、役者を続けることができています。

-会社をやめるにあたって家族や周囲の反対はありませんでしたか

無論、実家の家族は大反対でした。もう、当然だと思います。今でこそ、もうアイツもいい歳だから言ってもしょうがないか、と黙認されているような状態ですが、内心は今でも反対だと思います。

会社のほうは、もちろん慰留はされましたが、会社が嫌で辞めるという理由ではなかったのと、実際の退職まで半年以上あるので十分引継ぎができたということ、それから転職に関してオープンな文化の会社だったので、わりとすんなりOKが出ました。

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