復活の少女シリーズ一時低迷した大映テレビドロドロ路線が復活したのは83年のTBS系火曜20時枠『高校聖夫婦』から。伊藤麻衣子(現・いとうまい子)と鶴見辰吾が演じる二人の高校生が、それぞれの自立のために好きでもないのに学生結婚してしまう、という「赤シリーズ」とは違った青春路線としてヒット。続く『スチュワーデス物語』は松本千秋(堀ちえみ)がスチュワーデスを目指し努力し、かつあこがれの村沢教官(風間杜夫)との恋を貫き通す青春純愛ドラマのはずですが、その一方で「教官!」「ドジでノロマな亀」などの迷セリフ、感情むきだしの演技、無茶なストーリー展開に笑ってしまう、という二面性が楽しめるという新パターンになりました。。84年の『不良少女と呼ばれて』ではひたむきに更生をめざす少女の物語を基本に、丸顔の伊藤麻衣子に不良少女を演じさせるギャップ、クサい名セリフ連発で大映テレビ最強の不良少年キャラ・松村雄基、いじめ役でおなじみの伊藤かずえも登場し盛り上げます。続く『少女に何が起こったか』ではなんてったってトップアイドルだった小泉今日子が主演、漁村に育った少女が実は天才ピアニストの血を受け継いでいてピアニストを目指すシンデレラストーリーを基本に、遺産争い、ピアノ科助教授(辰巳琢郎)との恋愛、ピアノコンクール優勝を目指しての練習とさまざまな要素をてんこ盛りにぶちこんだという点では大映テレビでもトップレベル、と「少女シリーズ」を確立し大映テレビ第二期黄金時代が始まったのでした。ちなみにこのTBS火曜20時の少女シリーズ、大映テレビ以外の作品もあり、朝ドラを除く連続ドラマ最高視聴率を記録した『積木くずし』、その『積木くずし』の不良少女役で売れた高部知子がニャンニャンスキャンダルからの復帰をはかった『転校少女Y』、自殺前の岡田有希子主演の『禁じられたマリコ』となかなかカルトなドラマぞろいです。さらに84年『青い瞳の聖ライフ』からフジテレビ水曜20時枠にも進出し、『スタア誕生』『ヤヌスの鏡』などをヒットさせます。この第二期黄金時代もピークは84~85年の『スクール★ウォーズ』あたり。歴史は繰り返し、パターンがあきられてしまいます。その後、大映テレビらしい連続ドラマというと97~98年の『ストーカー・誘う女』『略奪愛・アブない女』『仮面の女』の三部作が最後。現在の大映テレビは2時間ドラマを主力とし、往年の熱気は市原悦子主演の『家政婦は見た!』あたりで感じさせられます。前のページへ123次のページへ