大河の中の大河『黄金の日日』三谷幸喜は『新選組!』を昔、自分が大河を見て育ったように全国の小学生のために書いているそうです。三谷幸喜の好きな大河ドラマといえば78年の『黄金の日日』。これはすばらしいドラマでした。主演は先代・市川染五郎、つまり今の松本幸四郎。三谷幸喜が『黄金の日日』が好きだったから『王様のレストラン』の主演となったわけです。 原作:城山三郎 脚本:市川森一、長坂秀佳 演出:岡本憙侑、高橋康夫、宮沢俊樹 制作:近藤晋 出演:市川染五郎(助左衛門)、川谷拓三(杉谷善住坊)、根津甚八(石川五右衛門)、栗原小巻(美緒)、林隆三(今井兼久)、夏目雅子(笛・モニカ)、竹下景子(しま・桔梗)、名取裕子(梢)、鹿賀丈史(高山右近)、島田陽子(たま)、李礼仙(お仙)、十朱幸代(ねね)、唐十郎(原田喜右衛門)、近藤正臣(石田三成)、児玉清(徳川家康)、丹波哲郎(今井宗久)、高橋幸治(織田信長)、緒形拳(豊臣秀吉)、鶴田浩二(千利休) 戦国末期、堺出身の水夫・助左衛門は親友・杉谷善住坊(川谷拓三)、五右衛門(根津甚八)らと難破しルソン(今のフィリピン)に流れ着く。そのことをきっかけにルソンとの貿易をはじめ大商人に成長する姿を描く。 『黄金の日日』は大河ドラマ16作目。それまでの15年間は大物歴史作家の原作を元に著名な歴史上の人物を主人公に描いていました。しかし同じパターンを続けたことにより ・マンネリ ・歴史の表面をなぞっただけで人間が描かれていない ・現代に通じるものがない との批判がありました。 そこで『黄金の日日』の主人公を歴史上の書物では数行に名前を残すのみの商人・呂栄助左衛門に設定。そのために生まれた特徴は ・支配者である武士からではなく庶民の立場から歴史を描く ・天下統一に重要なのは貿易都市・堺だった、という経済的視点 ・大河初、海外まで舞台になるなど戦国の世を自由に動け、ストーリーに制約が少ない(近藤勇と坂本竜馬と桂小五郎がいっしょに黒船を見に行くわけない!といわれる心配がない) とそれまでの大河ドラマにない新しさを打ち出しました。 さらにその設定上で親友・杉谷善住坊(川谷拓三)、石川五右衛門(根津甚八)との友情や美緒(栗原小巻)との微妙な関係、若き木下藤吉郎(緒形拳)とは交友したが支配者となった豊臣秀吉とは自由を求めて戦うなど、波瀾万丈のストーリーを展開で一回たりと見逃せない展開。。 このストーリーを描くために、ドラマ化前提に経済小説を得意とする城山三郎に原作を依頼し、それと並行して脚本は市川森一に依頼し、原作とは競作のオリジナル脚本に近いストーリーとなりました。(これ以降、市川森一は脚本に経済的視点を折り込むのが得意になり名作『淋しいのはお前だけじゃない』、最近では『ドリーム~90日で1億円』を書いています) そしてやっぱり主人公の市川染五郎(現・松本幸四郎)がかっこよかった。最初は夢はあるが未熟な一介の水夫だったがさまざまな苦難を経て押しも押されぬ豪商になる、その成長を見事に演じてくれました。 また鉄砲の名手であったために信長を狙撃犯となり追われる善住坊役の川谷拓三、泥棒として秀吉と戦う五右衛門役の根津甚八もこの作品でブレーク。以後、大活躍します。 他にキリシタン大名・高山右近役の鹿賀丈史もここで売り出し、当時はまだ夫婦だった状況劇場の唐十郎・李礼仙も印象深く、高橋幸治も秀吉の緒形拳とともに『太閤記』以来の信長を演じ、それから夏目雅子も美しかった… 多くの登場人物が生き生きと動くという点では『新選組!』と共通するものがあります。ただ違うのは、登場人物が複雑に絡み合い波瀾万丈のストーリーを展開するところがまさに「大河ドラマ」。 『新選組!』はまとまってはいるけど、ストーリーのうねりという面で大河とはまだ言いがたいものがあります。まあ現状では「中河ドラマ」というところでしょうか… DVDを購入する場合はここをクリック! |
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