脇役陣の厚み1・教授会など

『白い巨塔』もう一方の主役といえば財前と医者として違う方向を目指しながら不思議な友情関係にある里見先生、唐沢版では『救命病棟24時』や『赤ひげ』など最近、医者役が多い江口洋介が演じています。

それに対して田宮版の里見・山本學は『白い巨塔』に『ありがとう』の第2シリーズなど医者役が数多くて江口洋介以上に良心的医者のイメージが定着しています。どのくらい定着しているかというと、芝居で地方公演にいくと地元の人から「最近、からだの調子が悪いんですけど…」と医療相談をうけてしまうぐらいです(そんなとき養命酒をすすめているかどうかは不明)。

最近では中居版『白い影』で直江を見守る長野時代の院長として登場。やっぱり良心的医者ナンバーワンです。

さて、山本學がテレビ番組で唐沢版の感想を問われて「感情表現はこれくらい派手にやらないとと伝わらないものなのかな?」と答えていたそうです。たしかに田宮版は抑えた演技が多いのに対して、唐沢版は表情でわかりやすく見せるのが主流です。

その差が目立つのは東教授など浪花大学教授会の面々。

石坂浩二の東教授は実力のある財前への嫉妬をあらわにみせ、これが原作通りなのですが、田宮版・中村伸郎の東教授はあくまで紳士然としており、はたして財前への嫉妬はあるのか、それともホントに人格的に教授にふさわしくないと思っているのか?なかなか微妙です。
中村伸郎でテレビドラマで印象的なのはこれ以外に、昨年NHK「BS思い出館」で再放送された若山富三郎主演の『事件』シリーズで判事の常連、あくまで紳士です。

鵜飼教授は伊武雅刀も財前を応援するのも結局は自分のため、という組織によくあるキャラとしてがんばっています。それに対して田宮版の小沢栄太郎はキャラ自体が実に老獪。小沢栄太郎は映画・ドラマではたいていこんな老獪オヤジで年期がかかってます。
これ以外のテレビドラマで最も有名なのは大映テレビ・赤シリーズで最高視聴率をとった『赤い激流』の音楽大学の学長役でしょうか。

いい勝負なのは大河内教授。原作で「鶴のような痩身」といわれるキャラでいまどきの俳優でそんな人いるか?と思っていたけど、品川徹は容貌のイメージがピタリでよく見つけてきたと感心させられます。
対して、田宮版は若いころから老優だった加藤嘉、キャリアで勝り演技ではこちらが一枚上手か。
加藤嘉といえば代表作として、現時点ではテレビドラマはおいといて映画『砂の器』をあげねばいけないでしょう。中居版では原田芳雄が演じている役で一世一代の名演を見せています。

他の教授会の面々は田宮版の戸浦六宏、井上孝雄、小松方正らに比べるといかにも線が細い。この三人、そろって悪役もこなす性格派俳優だけど、この「性格派俳優」という言葉自体がそういう俳優がいなくなって死語になっています。

これら教授会メンバーが料亭で丁々発止の戦いを繰り広げるのが田宮版・教授選挙の見所なのですが、唐沢版はそれだけの役者がいないためか大幅にカットされていて残念でした。

役名 唐沢版 田宮版 役柄
財前五郎 唐沢寿明 田宮二郎 浪速大学第一外科助教授/教授
里見脩二 江口洋介 山本學 浪速大学第一内科助教授
       
東貞蔵 石坂浩二 中村伸郎 浪速大学第一外科教授
鵜飼良一 伊武雅刀 小沢栄太郎 浪速大学第一内科教授・医学部長
       
大河内清作 品川徹 加藤嘉 浪速大学病理学科教授
葉山優夫 渡辺憲吉 戸浦六宏 浪速大学産婦人科教授
今津昭二 山田明郷 井上孝雄 浪速大学第二外科教授
野坂耕一郎 山上賢治 小松方正 浪速大学整形外科教授
       
菊川昇 沢村一樹 米倉斉加年 石川大学助教授
船尾悟 中原丈雄 佐分利信 東都大学医学部教授