子ども向け変身ヒーロー番組で人気がでた俳優が、大人向けドラマの俳優として主演級としてメジャーになる例はあまりありませんでした。
一番の成功例は1号ライダー・藤岡弘、この人は本郷猛イメージのままで突き進んだめずらしい例です。仮面ライダーでは他にスカイライダーが村上弘明だけど、これはスカイライダー自体がヒットせずあまり有名ではありません。
ウルトラマンではタロウの篠田三郎とエイティの長谷川初範。ティガの長野博はすでにV6として活躍中に演じたのでちょっと違いますか。
スーパー戦隊シリーズだと主演級はあまりおらず、イマシュンでカクレンジャー・ニンジャブラックのケイン・コスギ(アメリカ帰りの忍者というそのまんまの設定であった)ぐらい。さとう珠緒がバラエティ番組でオーレンジャー・オーピンクネタで笑わせるというのもありますが。
ところが最近流れが変わってきました。きっかけは『仮面ライダークウガ』のオダギリジョーからでしょう。
『仮面ライダークウガ』は石森プロと東映が原作者・石ノ森章太郎の遺志を継ぎ、2000年を機にライダーを甦らせるべく子供だけでなく大人の鑑賞にもたえられるように気合いを入れてつくった作品。
いままでの変身ヒーローものと違い、怪人が出現したら警察が捜査本部をつくって事件として解決をめざすなどフィクションの中のリアリティを追求し、その上に「おやっさん」など旧シリーズの要素も盛り込んでいるのが特徴です。
現代のヒーローものでは主人公はなぜ戦うのか?という理由づけがむずかしいのですが、クウガ・五代雄介は「みんなに笑顔でいてほしいから」と戦う、いまどきピュアな主人公。プロデューサによると「一年の長丁場では演じる俳優の地がでるから主役選びは難航したけど、オダギリジョーがきてすぐに決まりました」とのこと。
たしかに適役で、ガイドは見ていて「藤岡弘を超える俳優になるかもしれない」と感じていました。その期待通り、その後は『OLビジュアル系』『嫉妬の香り』『初体験』で個性的に脇役を演じます。
そして、この7月からのドラマでは、心の中がまるわかりのピュアな男『サトラレ』で主演、『天体観測』で男優の三番手と活躍しています。
『クウガ』で主人公をサポートする一条刑事を演じたのが葛山信吾、10年くらい前から俳優として活動し、NHK金曜時代劇『夢暦 長崎奉行』では準主役・若き日の遠山金四郎を演じるなどの作品がありますが、も一つぱっとしていませんでした。
しかし、この一条刑事役で注目され、『真珠夫人』の杉野直也役でブレイクしました。