家を守る小人『トムテ』
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ここで購入!北欧の農家で屋敷を守ってくれる小人、トムテ。夜の間に家や家畜小屋を見まわりながら思索にふけります。 |
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ここで購入!トムテは、おなかをすかせたキツネに自分のおかゆを分け与えます。 | スウェーデン語の「トムテ」はスカンジナビア地方の地霊のような妖精です。何百年も生きていて、親切にするとその家や子どもを守ってくれます。家の守り神ですから、祝祭の時にはお礼をしなくてはいけません。スウェーデンでは、クリスマスにユールグロートという、ミルクで煮込んだ甘いおかゆをを作りますが、イブの夜にはトムテの分を器に入れて、家の外に出しておく習慣があります。
絵本『トムテ』は、1882年にスウェーデンの詩人リードベリが発表した詩「トムテ」を絵本にしたものです。家畜や家の子どもの夜回りをしながら、トムテは生と死の深遠について考えています。スカンジナビア地方の最初の住人だというトムテ。人間は、そういう不可思議な存在に守られて生きています。
トムテは つまさきだって、さいごにこどもべやに はいっていった。かわいい こどもたちをみるために。これが トムテのいちばんの たのしみだから。
こんなトムテに日ごろの感謝をこめてクリスマスイブに贈られるたっぷりのおかゆ。『キツネとトムテ』では、クリスマス・イブの夜に、家畜をねらうキツネを見つけたトムテが自分のためのおかゆを分け与えます。親切にされたキツネはきっとその恩を忘れないでしょう。それもまた「家を守る」ことにつながりますね。ちなみに「トムテ」はフィンランドでは「トントゥ」、ノルウェーやデンマークでは「ニッセ」と名前が変わります。『サンタクロースと小人たち』(マウリ・クンナス)は、フィンランドのコルバトントリに暮らすサンタクロースとトントゥのお話です。
■『トムテ』
さく:リードベリ
え:ウィーベリ
やく:やまのうちきよこ
出版社:偕成社
価格:1,470円(税込)
発行:1960/1979.11
■『きつねとトムテ』
さく:フォーシュルンド
え:ウィーベリ
やく:やまのうちきよこ
出版社:偕成社
価格:1,470円(税込)
発行:1981.4
トムテの大冒険『おもちゃ屋へいったトムテ』
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ここで購入!田舎の小さな家の床下に住んでいたトムテの男の子ヌッセは、偶然から町のおもちゃ屋へ運ばれ、ショウウインドーに飾られてしまいます。 | 『おもちゃ屋へいったトムテ』で田舎に住むトムテのニッセとヌッセの兄弟は、こっそり遊びに行った人間の家でうっかり箱詰めにされ、町のおもちゃ屋へ運ばれてしまいます。
トムテのヌッセの茶目っ気も楽しく、ガラス越しに出会った男の子スバンテとヌッセとの絆もじーんとします。べスコフの物語とささめやゆきさんの絵の組み合わせにも妙がありますね。ヌッセからの最後の贈り物は、ヌッセがトムテだから実現できたことでした。読み終わると、おもちゃ屋に並ぶ人形がもしかして……という気持ちになるお話です。
■『おもちゃ屋へいったトムテ』
さく:エルサ・べスコフ
え:ささめやゆき
やく:菱木晃子
出版社:福音館書店
価格:1,260円(税込)
発行:1950/1998.10
派手なクリスマスから少し離れ、クリスマスを思うと心が落ち着くような時間をもうけてみませんか?子どもの好きなおもちゃを買うだけではなく、子どもと一緒に何かを作ったり、贈り物を自分で用意させたり、1日1日を数えたりして、幼児期ならではのクリスマスを過ごしたいですね。ご紹介した絵本にはそんなヒントが詰まっています。2007年は12月2日が第一の主日です。どうぞ、素敵な待降節をお過ごしください。
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スウェーデンのサンタクロース、ユールトムテ
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