絵本/絵本関連情報

泣き笑い、お月見絵本で十五夜を!(3ページ目)

もうすぐ中秋の名月です。絵本で楽しめるお月見ということで十五夜や月の絵本をご紹介しましょう。14ひきのお月見やタヌキのお月見。物悲しい話も愉快な話もありますよ。

執筆者:鈴木 宏枝

子どもが巣立つ瞬間『まんげつのよるまでまちなさい』

大きな栗の木の寝方で、アライグマのぼうやがお母さんと2匹で暮らしていました。ぼうやは夜、外に出ておもての世界を見てみたい、フクロウに会いたい、夜ってどのくらい大きいのか見てみたいと思います。でも、ぼうやがたずねるたびに、お母さんはこう言います。

「まだよ。まんげつになるまで まちなさい」

新月から細い三日月へ。満月になるまでの間、ぼうやは夜のことを思いめぐらせ、お母さんの歌を聞きながら待ちつづけます。そして満月。まさにその晩にぼうやはお母さんに尋ねるのではなく、きっぱりと意思を伝えます。

「いいかい、かあさん。ぼく、これから もりへ よるを みにいくからね。いいでしょ?」

子どもと親の双方が子どもの自立の瞬間を見きわめる、すばらしい絵本です。こんな風に子供のことをよく知り、待つことの大切さと、飛び出していくベストなタイミングに送り出せる親になりたいものだなあとしみじみ感じます。お母さんとぼうやのやりとりは静かなモノトーンで、夜の世界に出るとぱあっと鮮やかなカラーになる色彩の技も見事です。

外国には十五夜の概念はありませんが、満月に秘められる力には国を越えてひきつけられますね。

■ 『まんげつのよるまでまちなさい』
さく:マーガレット・ワイズ・ブラウン
え:ガース・ウイリアムズ
やく:まつおかきょうこ
出版社:ペンギン社
価格:¥1,050
発行:1948/1978.7

夜は大忙し
『おつきさまはよるなにをしているの?』昼間は眠っているお月様。夜になったらぱちりと目を覚まし、たくさんのお仕事をこなします。朝の光に美しく水が輝くようにするのもお月様。良い夢を迎え入れ、悪い夢を追い払うのもお月様でした。

夜の間にお月様が私たちのためにしてくれることがたくさん描いてあります。同じテーマの絵本は多いですが、ガイドが個人的にとても気に入ったのがこれでした。必ずしも十五夜の絵本ではないですが、月に親しむのにぴったりです。

ページによって三日月だったり十六夜だったりいろいろですが、どの晩もお月様は私たちに素敵な夜を贈るため、楽しくも忙しく仕事をこなしています。悪い夢を追い払うときの「めっ」というおっかなさや、野原の霧や雲を追い払うときのうれしそうな微笑など、表情がとても豊かです。また夜が舞台なだけあって、黒や濃灰色の「暗さ」の表現が奥深く、闇のもつ様々な色合いが感じられます。朝が来て眠りにいくお月様と黒猫の後姿に、そっと「おやすみなさい」と声をかけたくなってしまいました。

■ 『おつきさまはよるなにをしているの?』
さく:アンネ・エルボー
やく:木本栄
出版社:ひくまの出版
価格:¥1,680
発行:1988/2000.4


いかがでしたか? 2007年の十五夜は9月25日、満月は9月27日です。家族で月をめでて、どうぞ静かなひとときを過ごしてくださいね。

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<関連記事>
「お月見特集」

<関連サイト>
「月の絵本」 (ユウchan)
『まんげつのよるまでまちなさい』
ここで購入!アライグマのぼうやは夜の世界を見てみたいと思いますが、お母さんは「満月の夜まで待ちなさい」と諭します。
『おつきさまはよるなにをしているの?』
ここで購入!お月様は昼間は眠っていて、夜になると目を覚まします。夜明けまでの間、空気をきれいにしたり、悪い夢を追い払ったり大忙しです。
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