秋:元気な女の子はかぼちゃを持って『ぐりとぐらとすみれちゃん』
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『ぐりとぐらとすみれちゃん』ここで購入!ぐりとぐらのところに、向こうの原っぱからすみれちゃんがかぼちゃを持ってきてくれます。 | こんにちは、かぼちゃです。あまい ぽくぽくの かぼちゃです
すみれはらっぱのすみれちゃんが大きなかぼちゃを背負って、ぐりとぐらのところに訪ねてきてくれます。ピンクのリボンがおしゃまなすみれちゃんは、ぐりとぐらには出来ないやり方で、かぼちゃを見事に割ってくれます。さて、2匹はこのかぼちゃで、どんなすばらしいお料理を作ったのでしょうか……。
すみれちゃんのモデルは、脳腫瘍のため4歳で亡くなった女の子です。このエピソードは、こちら「1通の手紙から―『ぐりとぐらとすみれちゃん』のこと 井上博子」(こどものとも50周年記念ブログ)で読むことができます。
かぼちゃを背負い、ふんばって立つぽっちゃりした足も、ひざを開いた赤ちゃん座りしている様子も、自分のまわりの小さい女の子をつい思い出してしまう、そんな普遍性を持っています。お料理好きのぐりとぐらのこと、このスペシャルなかぼちゃでも山のようなごちそうとお菓子を作りました。すみれかぼちゃの「その先」を感じさせるオチは、第一作の『ぐりとぐら』に通じるものがありますね。
■『ぐりとぐらとすみれちゃん』
文:中川李枝子
絵:山脇百合子
出版社:福音館書店
価格:\840
発行:2000.4
冬:クリスマスには不思議な来訪者『ぐりとぐらのおきゃくさま』
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『ぐりとぐらのおきゃくさま』ここで購入!ぐりとぐらの家で、赤いマントに白いひげの不思議なお客さんがおいしいクリスマスケーキを焼いていました。 | ぐりとぐらが雪野原の足跡をたどっていくと、なんと自分の家に着いてしまいます。家の中には靴下やマントが干してあり、台所からいい匂いがしてきました。そっとのぞくと、白いひげのおじいさんがみごとなケーキを作っていました!
ガイドが『ぐりとぐら』の次に好きな作品です。赤い服に白いひげのおじいさんは確かにサンタクロースと思いますが、本当にそうなのかなと考える余地が残されています。出て行くときの挨拶も「メリークリスマス」ではなく「よいお年を」ですし、自分がサンタとは名乗っていません。日本的な風土にあって、ぐりとぐらの家だからこそお客に来たのであろうサンタクロースはなんだかとてもとぼけていて味があります。
「3びきのクマ」などの昔話では、留守宅に入り込んだ女の子やおばあさんは平和な暮らしを荒らす役割ですが、ぐりとぐらにとって珍客はまさに「おきゃくさま」。普段から料理に腕をふるうぐりとぐらにとって、サンタクロースのお手製ケーキは年に一度の「プレゼント」ですね。
■『ぐりとぐらのおきゃくさま』
文:中川李枝子
絵:山脇百合子
出版社:福音館書店
価格:\1,260
発行:1966.12
いかがでしたか? 大人気の『ぐりとぐら』が生まれて、もう40年以上がたちました。変わらずに愛される魅力は、絵本を読めば納得です。どうぞぐりとぐらと一緒の春夏秋冬をお楽しみください。
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「みんな大好き、ぐりとぐら!」(後)
<関連サイト>
「みんなのにんきもの ぐりとぐら」(福音館書店)
「ぐりとぐら」(絵本の杜)