子どもの「将来の夢」を応援する親の関わり方
大人も子どもも日常生活においては、どうしても「目の前のすべきこと」に意識が向いてしまいます。大人(親)の立場であれば、「朝、子どもを起こすこと」「朝食を作ること」「時間までに子どもを自宅から出発させること」「忘れ物がないか確認すること」などです。朝の短時間に関することだけでもこういった「目の前のすべきこと」があります。これは子どもも同様です。夕方、学校から帰宅すると、「手洗い・うがいをする」「連絡帳や配布物を出す」「宿題をする」「次の日の準備をする」などの「目の前のすべきこと」があります。
親にしても子どもにしても、こういった「目の前のすべきこと」をきちんとクリアーしていかないと色々な不都合が生じるため、どうしても優先して取り組むこととなります。そういった日々の中で、目の前のやることが目的化したような感じになってしまうことがあります。
そのような日々を送りがちな日常において、様々な機会に「将来のこと」「夢」などを考えることは非常に意味のあることです。先程の「目の前のすべきこと」が「短期的視点」であれば、「将来のこと」「夢」などを考えることは「中・長期的視点」になります。
将来の夢を持つことは、子どもの様々な能力を伸ばす
私は小学校の教員をしている時、子ども達に「やらされている勉強と自分からやっている勉強では効果が10倍違う」と伝えていました。子どもは、日常生活の流れの中で、何となく勉強などをします。 真面目な子ども程、教師に言われたり、親に言われたりしたことなどをきちんとこなそうとします。そういったことにも学びや育ちはあるのですが、もし自分でしたいこと、なりたいものなどが決まっていれば、さらに日々の取り組みの意欲が高まります。現在、小学校での取り組みが始まった「英語(外国語活動)」は正にそれが当てはまります。何となく、試験があるから英語を勉強しようとしている子どもと、自分がしたいことを実現するために英語を身に付けたいと思っている子どもでは、学びの意欲が違ってきます。
「世界で困っている人を助けたい」「宇宙船のパイロットになりたい」「プロサッカー選手やプロラグビー選手になって外国で活躍したい」など、こういった子どもの思い(夢)は、日々の学びのモチベーションになります。英語だけでなく、全ての学び、経験が、子どもの思いの影響を受けます。
「子どもの夢は実現できるとは限らないので、そういったことに力を入れなくとも良い」という考える人もいるでしょう。確かにそういった面もあるのは事実ですが、その時その時に真剣に物事に取り組むということはとても意味があることなのだと私は考えています。
ラグビー選手になりたいと思い、一生懸命努力をすることは、その子どもの集中力や忍耐力など、様々な能力を伸ばします。どこかのタイミングでラグビー選手という夢が破れたとしても、それまでの経験(育ち、学び)は、次のことにも生きてくるのだと思います。また、周りの大人(親や教師など)は、生かしていかなければならないのだと思います。
子どもが将来の夢を考える時のアドバイス
はじめにも書いたように学校では卒業文集や1/2成人式でのスピーチなど、節目節目で子どもが将来の夢などを考え、発表する機会があります。子どもが夢などを考える際は「未来志向」で考えていくことが良いでしょう。しかし周りにいる大人は自分の経験を踏まえ、つい「そんなもの無理ではないの?」というようなことを言ってしまいがちです。しかし可能な限りそういった「ネガティブな関わり」は避けていきたいものです。このような大人の発言によって、子どもは自分の夢を諦めてしまう可能性があります。何か辛いこと、大変なことに直面した時に、周りの大人の関わり(声かけ)の質は様々な影響を与えます。
「ちょっと無理かもしれない」と思うようなものでも良いのだと思います。先ほども書いたようにそれが学びや努力のモティベーションになります。
子どもは学校で与えられた機会で「将来の夢」について考える際、多分に周りにいる大人の影響を受けます。子どもが伸び伸びと自分の夢を語り、それに向けて努力していくことができるような環境を周りにいる大人としては整えてあげたいものです。
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