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理解力がない子ども……飲み込みが遅い我が子に不安を抱える親へ

理解力がない子ども……我が子の飲み込みが遅いという不安を抱えている親からの相談を受けることがあります。このような問題には、子どもの身体的な問題や親自身の教え方など、様々な要因が関係している場合があります。障害や経験不足など、考えられる原因と対処法をご紹介します。

鈴木 邦明

執筆者:鈴木 邦明

子育て・教育ガイド

理解力がない子に悩む親へのアドバイス

子供の理解力が遅い?飲み込みが遅い我が子に不安を抱える親へ

子どもの理解力の低さは様々な要因が原因であることが多い

子どもの理解力が低いと親が感じるケースでは、原因は1つではなく、複数の要因が関係していることが多いです。様々な可能性を考え、それらに適切に対応することが大切です。子どもにとってより良い育ちにつながるように環境を整えてあげると良いでしょう。
   

子供の理解力が遅い原因1:何らかの機能障害が疑われる

子どもの理解力

子どもの理解力の低さは色覚異常などの場合もある

乳幼児期の子どもが、指示されたことをスムーズに理解したり取り組むことができないケースにおいて、何らかの身体的な機能障害があることがあります。

例えば、聴覚に関する問題です。音を聞くという能力の一部に不具合があると、子どもは指示などの音声を完全には把握できない場合があります。結果として、求められたことができず、親としては「理解力が低いのでは……」という心配につながっていくというものです

似たようなもので、「色覚」があります。見えてはいるのだけれども、色に関する部分での認識にズレや違いが生じてしまいます。平成14年までは学校において色覚検査が全員に実施されていました。それが学校保健法の改正によって「希望者のみ」というやり方に変わっています。以前よりもそういった状況を見つけにくくなっています。

自分の子どもで心配な面がある時は、定期検診での問診の際や小児科を受診した際に相談してみることがお勧めです。その場で分かることはその場で対応してくれますし、その場で対応できないようなものは、適切な専門機関を紹介してくれます。そういったことが適切な対応につながっていきます。

【参考】
難聴を見逃さないために―1歳6カ月児健康診査および3歳児健康診査―(日本耳鼻咽喉科学会)
子どもの目の健康(日本学校保健会)
 

子供の理解力が遅い原因2:子どもの様々な実体験が不足している

子どもの理解力

子どもの理解力は実体験と大きく関連がある

例えば「バナナ」という言葉を聞いたとします。大人は「黄色い皮をしたあの独特の形」、「自分が食べた時の柔らかい食感」「温暖な地域に房でなっているたくさんのバナナ」などを頭に思い浮かべます。それはこれまでの人生の中で様々な形でバナナと関わってきているからです。

その点、子ども達はそういった「実体験」が少ないです。あまりバナナを食べたことのない子どもにとっては「バナナ」と言われても、「スーパーの生鮮コーナーに並んでいるもの」、「漫画やドラマの中で出てきているもの」くらいのイメージしかできないかもしれません。

現代社会を生きている子ども達は、以前と比べ、様々なものに関する実体験が減ってきています。これは学校の学びなどにも影響を与えています。そのため生活科、理科、社会科、総合的な学習などにおいては、子どもの体験を増やすようなプログラムがたくさん組まれています。

例えば、小学校3年生では、昔の人々の暮らしについての学習をします。昔から使われている道具などを触れながら、当時の暮らし方などについて多くの知識を学んでいきます。

現代の社会においては、ICTなどの発達により、多くの情報が溢れています。しかし、それらは子どもにとっては実感を伴った理解にはつながっていないものもあります。そういったことが「理解力が低い」とつながっている可能性はあります。

豊かな体験ができた時代以上に、現在は子どもの様々な体験が大事な時代なのだと思います。そういったことを親や教師が意識できるかどうかということが大切なことでしょう。
 

子供の理解力が遅い原因3:大人の説明の方法などに問題がある

子どもの理解力

子どもの理解力の低さは大人が原因であることもある

親や教師の説明が十分でないことが原因で子どもの理解が十分でないというケースもあります。先ほども書いたように子どもは実体験の少なさなどによって、「言葉を知らない」「言葉を知っていても実物とつながらない」ということがよく起こります。親や教師の言葉に対する認識と子どもの認識の差が子どもの理解不足に影響を与えていることがあります。

特に親や教師が感情的になっている状況では、そういったことが起こりやすいです。通常の場面では、子どもにとって分かりやすい言葉を使っているような人でも状況によってはそうではなくなることがあります。

例えば、子どもを叱る時などです。カッとなると誰しも我を忘れて自分の言いたいことを一気に言ってしまう傾向があります。子どもにとって理解がしにくい言葉を使ってしまったり、話すスピードが速くなってしまったりします。

そういったことが、子どもの理解度が低くなることにつながるのです。親や教師としては大事なことを伝えていたつもりだけれども、結果としては子どもに伝わっていないという状況が起こります。

「子どもの理解力が低い」ということには、様々な要因が関係していることが考えられます。考えられる要因についてチェックしながら、子どものより良い育ちにつながるように可能性を探っていきたいものです。

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