「赤ちゃんポスト」に賛否両論

赤ちゃんが育てられないから専用のポストに……。ポストに置かれた赤ちゃんは、その後どんな道をたどるのでしょう?(画像はイメージです)
熊本市の慈恵病院が、出産されたものの育てられない事情のある赤ちゃんを受け入れる「こうのとりのゆりかご」(通称 赤ちゃんポスト)設置を計画していると報道され、波紋を呼んでいます。

カトリック系の同病院としては「不本意な妊娠・出産による新生児の産み捨てや、不幸な中絶を少しでも減らしたい」と、救える命を救い、養子縁組につなげたいという意向があり、賛同の声も多いのですが、「安易に育児放棄する若者を増やすだけ」、「赤ちゃんをもののように扱うべきではない」など、捨て子を助長するだけとの厳しい批判もあります。

「赤ちゃんポスト」の試みは1999年にドイツで始まり、現在はドイツ国内で78ヵ所にも広がりました。同様の施設はヨーロッパ内にも徐々に広がりつつあります。しかし、設置後にドイツ国内での新生児遺棄や殺害などの事件がなくなったわけではなく、また、「赤ちゃんポスト」の法的な位置づけもあいまいなまま、留保されています。

「赤ちゃんポスト」は、病院施設内の窓際に設置された保育器であるため、赤ちゃんをここに置いた親が保護責任者遺棄罪に問われないのかという点では、問題はクリアできているとのこと。しかし、ポストに置かれた赤ちゃんは、その後どんな道をたどるのでしょうか。そしていま、現実に「育てられない」と手離される乳幼児たちはそんなに多いのでしょうか。

ポストに入れられた赤ちゃんはどこへ行くのか

京都社会福祉士会所属の社会福祉士、佐竹紀美子さんは、赤ちゃんポストは「あってもいいもの」とおっしゃいます。長く児童福祉の現場に携わり、里子支援をしてきた経験から、「もっと養子縁組に目が向けられてほしい」との思いがあるそうです。

保護者によって置き去りにされた赤ちゃん(2歳までの子ども)は、警察への通報などを通して、乳児院へ送致されます。これは一般に親が保育所に預けるような契約ではなく「措置」であり、行政処分なのだと、佐竹さんは強調します。「乳児院や児童養護施設に入所するということは、自らの意思による契約ではなく、法律上は少年院や刑務所に送致されるのと同じ扱い。この点は改善されるべきです」。

佐竹さんは大阪市内のA養護施設でのカウンセラー業務を通して、里子支援活動にも携わって来られました。しかし、置き去りにされてしまった子どものケースは非常に困難とのこと。ケースワーカーが長期に渡って身元を調査しますが、それでも何の手がかりもなく生年月日も名前もわからない場合、「法的には宙ぶらりん」で、そのままでは学校にも行けないので、家裁に行き、新しい「身元」を得なければなりません。2歳までは乳児院で育ち、その後は18歳の誕生日または高校卒業まで児童養護施設での生活を送ります。

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