年金と生活保護を吸い上げる?「お手軽」なアミューズメント

児童福祉や社会福祉の世界で、表面的には語られない「常識」がある。それは、「年金生活者や生活保護受給者の中で、確たる理由なく多額の借金を抱えているケースは、まずパチンコ依存症を疑え」ということだ。

歓楽街に限らず、町の商店街などにも存在し、「お気軽なアミューズメント」としての認識もあるパチンコ業界は、時間もお金もある町の年配客をいかにして取り込むか、そのソフト開発に注力してきた。

疲労感を感じやすい年配客を長時間小さな椅子に座らせ、ゲームに興じさせるには、「疲れない」パチンコ台の開発が必要だ。かつてのバネ式パチンコは、それなりに指の力を必要とし、長時間打てば相応の疲労感が出て「じゃぁそろそろやめよう」となる。

しかし、現代のパチンコやパチスロマシンに必要な作業は、ダイヤルを回すことのみ。単調な動きは反射神経のみを必要とし、前頭葉だけが働くので脳も疲れない。派手な大当たりの演出は過剰に成功を称え、その達成感に快楽物質のドーパミンが大量に分泌される。身体的疲労を伴わない達成感とその快楽は、その違和感をいずれは打ち消し、利用者はゲームに「遊ばれる」ようにして、年金や生活保護給付金、更には「損失を取り返すための」消費者金融の借金の中から、次々と一万円札を投入して行くのだという。

多重債務を抱える主婦

金銭的な問題だけではない。パチンコ店に入り浸るために、家庭を放棄したり、仕事を放棄するなど、社会的な問題が出てきたり、パチンコをしないと体が震えるなどの症状が出てきたら、それは明らかに重度のパチンコ依存症である。

例えば重度の買い物依存症の患者が、お金を見ると(それが自分のお金でなくても)それを握り締めて買い物に出かけてしまい、信用を失ってしまうのと同じように、パチンコ依存症の患者もまた、社会的信用を失い、家族や仕事も失って、それでもまだやめられないことに苦しんでいる。

これは、かつてのギャンブル依存と全く同じであることに、本人も周囲も気づく必要がある。多くの精神保健福祉センターでは、ギャンブル依存相談を受け付けているが、いまやそこに寄せられる相談の9割がパチンコ・パチスロに関する相談であるという。

相談者の大半は男性だが、中には主婦からの相談もある。多重債務を抱えたり、人間関係・家庭が破綻していたりするケースが目立つ。自分が「パチンコ依存症である」と自覚し、相談に訪れる人はごく一部に過ぎない。その背後には、何十倍もの「自覚のない」、したがってより深刻な依存症患者たちが潜在している。

《パチンコ依存症の親たち・後編》業界、ユーザ共にパチンコ依存症克服へ



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