今や社会現象とも言える「ナルミヤ」のジュニアファッション。
高価でカラフルな洋服に身を包んだ少女たちが、デパートの売り場や
数々のイベントに殺到する。ナルミヤ「超」ヒットの秘策とは?
⇒ナルミヤ インターナショナル 公式ウェブサイト (c)NARUMIYA INTERNATIONAL CO.,LTD
ジュニア服業界を席巻する「ナルミヤ」とは?
ジュニアファッション誌も大人気。左から『melon』(祥伝社)、『nicola』(徳間書店)、『ピチレモン』(学習研究社)。 |
または、ある夏休みのファッションビルにて。1階に設けられた特設ステージの足元には、お洒落をした少女たちがカメラや携帯カメラを手に、鈴なりになっている。それに混じるようにして母親や父親の姿も。ステージ上に少女モデルが登場すると、黄色い歓声と共に目もくらむようなフラッシュの嵐。
「ジュニア服」と呼ばれる、女子小中学生をターゲットとした子供服が、売れに売れている。仕掛けたのは北青山に本社を構える(株)ナルミヤ・インターナショナル(以下ナルミヤ)。明治39年創業の呉服問屋を前身とする、老舗アパレル会社だ。経常利益42億42万円(2004年1月期)、直営店舗数は900を超え、子供服界の一大ムーブメントを作り上げた。ポップで時代感覚溢れるデザイン、縫製の良さには定評があり、DCブランド全盛期にもヒットを飛ばしてきた。
そのナルミヤが「ジュニア服」という新しいコンセプトを定義し、新市場を開拓したのは12年前。女子小中学生をターゲットに、ポップでかわいい子供服「Angel Blue(エンジェルブルー)」を売り出したところ、これが大ヒット。見る間にブランド数を増やし、ブランドイメージのキャラクターを生かしたファンシーグッズなどの製品もバカ売れ。少女漫画などとコラボレートしたメディアミクス戦略、そしてTVタレントの低年齢化なども効を奏し、「オシャレなローティーン=ジュニア服=ナルミヤ」の公式を手中にした。
“ジュニアシティ”渋谷109-2が聖地
2002年3月、渋谷109パート2にジュニアブランドを集結した“ジュニアシティ”がオープン。1フロア全てがナルミヤのブランドで埋め尽くされ、その人気ぶりは渋谷駅まで行列ができるなど社会現象になった。
ジュニアシティを構成するのは、独自のコンセプトを持った5つの女の子ブランドと1つの男の子ブランド。ポップなAngel Blue(エンジェルブルー)、フリルたっぷりロマンティックテイストのmezzo piano(メゾピアノ)、フレンチテイストのpom ponette(ポンポネット)、ロコガール風のDAISY LOVERS(デイジーラヴァーズ)、そしてハードなアメリカンカジュアル風のBlue Cross(ブルークロス。男女がある)である。
どのブランドの売り場も、カラフルな色、一目見てそれと分かるキャラクター、アルファベットのロゴに盛り立てられた洋服でいっぱい。店員もジュニア服に身を包んで少女たちを迎える。そしてこの服、なんとTシャツでさえ7、8,000円はするのだが、親子連れや女の子連れが次々とやって来ては、飛ぶように売れていく。
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