「だらしない」なんて言わないで
でも、その多くは心配のないおねしょ。4歳くらいまでの幼児が、夜おふとんのなかにおねしょをするのは、発達段階に見られるごく普通のこと。そして5歳くらいになると、おねしょはかなり減り、6~7歳ですっかり止まってしまう、というのがよくあるパターンのようです。
ですが、もし小学校中学年以降になってもまだ毎日のようにおねしょをする場合は、器質的原因――からだの生理的発達がひょっとして遅れているということも考えられるそうです。こういった場合、治療が必要となる可能性もあるので、「夜尿症」と呼ばれるようになります。
いまだにおよそ80%の大人が、おねしょの原因はストレスや不安、怠け心だと信じているとか。しかし、おねしょの研究が進んだ現在、おねしょのメカニズムは医学的に明らかになっており、夜尿症の適切な治療法も確立しているので、全く心配はありません。
夜尿症はどうして起こる?
夜尿症とは、専門的には「排尿に関係する神経と内分泌の生理的調節が完成していてもいい5歳以降で、夜間睡眠中に無意識の夜尿が月平均1~2回以上ある場合」
と定義されます。
夜尿症の原因は複雑で、お子さんによって異なります。主なものは
- 睡眠中の抗利尿ホルモン(アルギニン・バゾプレシン)の分泌量が少ないこと
- 膀胱の容量がもともと小さいこと
- おしっこが溜まるにつれて膀胱が収縮してしまうこと(不安定膀胱と呼ばれます)
このような原因別に、夜尿症はいくつかに分類されます。(おねしょ診断はこちらで)
- 生来型:乳児期から排尿の自立が確立されていない
- 獲得型:一度確立された排尿の自立がなんらかの原因で崩れてしまう
- 2次型:稀に尿崩症(尿量が多くなる病気)やてんかん発作(睡眠中のひきつけ)が原因
小児科に受診すれば、それぞれ適切な治療が受けられるので、まずはおねしょ診断をしてみましょう。
おねしょ・夜尿症の対策法
おねしょや夜尿症対策の大原則は、「起こさず・あせらず・怒らず」!「早く治さなきゃ」、「恥ずかしい」という思いから、怒ったりあせったりするのは逆効果。お子さんも自信をなくしてしまいます。きちんと対処すれば、いずれはきれいに治るものなので、じっくり構えてあげてください。
また、意外にも夜間にトイレに起こすのはタブー。夜間に起こすと、睡眠のリズムが乱れて抗利尿ホルモンの分泌が減ってしまいます。その結果、薄い尿が出て夜間の尿量が逆に増えてしまうのだとか。また、起こして排尿させてしまうので、お子さんが膀胱に尿をためない習慣をつけてしまい、膀胱の容量が小さくなってしまうこともあるのです。さらに重大なことに、起こしつづけると成長が止まってしまうことも(詳しくはこちら)!
では具体的な対策は何でしょうか? まず基本は、生活指導です。
- 生活のリズム(起床・食事・就寝)を一定にする
- 夕方以降の水分摂取を控える
- 塩分は控えめに
- 排尿がまん訓練をする
排尿中断訓練:排尿を途中で中断させ、排尿機能を強化する
・冷えの対策
入学前は原則として治療の必要はなく、生活上の注意を守りながら治るのをゆっくり待っていれば大丈夫。でも小学校低学年以上で、夜尿が毎晩1回または2回以上、時刻が午前1時よりも早くて分量も多くストレスを感じている場合は通院して診断を受けてもいいそうです。
もし10歳以降も続く場合は、抗利尿ホルモンの点鼻療法など、投薬治療が行われることもあります。ですが、二次性徴により、遅くてもホルモンのリズムは整うので、二次性徴までに治れば問題はないと考えられています。家族性のことが多いので、両親のどちらかに夜尿がみられた場合、それと同じ頃には治ると考えていいのだとか。
お子さんの気持ちを第一に、いずれは治るものなのだと、親子でゆったりと取り組んでいきたいものですね。
【おすすめ関連サイト】
・協和発酵 夜尿症(おねしょ)ナビ
おねしょ診断、おねしょの原因と対策、おねしょ専門医のインタビューなど、わかりやすいおねしょの総合サイト。子供が自分で読めるよう、全ページにルビがふってあるのが親切。
・おねしょねっと
おねしょ・夜尿症研究に長年携わっている「おねしょ博士」のサイト。原因・頻度・検査・生活指導・治療法、著書などを掲載。
・All About【幼児教育】トイレトレーニング
トイレトレーニングを成功させるためのアドバイスやトイレトレーニングの情報交換ができるサイトを集めました。
・All About【育児の基礎知識】トイレで疑問をもったらのぞいてね!
トイレトレーニング・・・スムーズに進む子もいれば、つまずきながら進んでいく子もいます。そんなときに他の家庭ではどうなの?こんなときはどうするの?そんな疑問が解決できるはず!