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【子ども最前線 佐世保ショック‐1】 長崎女児殺害・IT教育への影響

長崎県佐世保市で起こった小6女児殺害事件。事件の背景にインターネットの介在が認められ、その功罪がクローズアップされています。

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド




長崎県佐世保市で起こった小6女児殺害事件。
事件の背景にインターネットの介在が認められ、
その功罪がクローズアップされています。




事件の残虐性


6月2日午後零時20分、長崎県佐世保市の市立大久保小学校で、小学校6年生の女児が首をカッターナイフで切られ、失血死させられました。

その「血まみれ」の現場の様子とともに、事件は連日センセーショナルに報道されました。事件の残虐性から、同級生の加害女児は殺人の非行事実で家裁に送致され、精神鑑定を実施される予定です。


小学生の2割がチャットや掲示板利用


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友だち同士で陰で中傷合戦……
初期の報道で、加害女児の動機として取り上げられたのは、被害女児・加害女児がお互いに開設しているホームページへの「書き込み」でした。被害女児が、加害女児のホームページの掲示板に中傷を書き込み、お互いのホームページの「荒らし」合い、つまり小学生の間で言われる「バトル」になっていたと言われています。

しかし、その「バトル」から実際の学校教室で険悪になるという話、小学生の世界ではよく聞く話です。日本PTA全国協議会が6月16日に発表した調査では、小中学生の約2割がインターネットでメール・チャット・掲示板を利用しているのに、親の4人に1人がそれを知らない状況にあるということがわかりました。



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子供たちはネットスキルをすぐ身につける
自宅にパソコンのある子供は84.8%、自分専用のパソコンを持つ子供は8.7%でした。子供が学校の「総合学習」などで調べものにインターネットを使うすべを身につけ、いずれはメールのやり取りや自分のHPを開設するスキルを手にする。そして、分別やいわゆる「ネチケット」に欠ける行動を取ってしまい、問題が表面化するケース。

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こんなことになるとは思わなかったのに……
親が子供にパソコンのある環境を与えておきながら、その使われ方を把握していないために、子供同士でのトラブルにつながっているという現象は、実は様々な学校の現場で見られていることなのです。

子供のインターネット利用「インターネットは危険なの?」

《参考:2004年06月11日(金)17時33分 共同通信

34教委がPC教育見直し 小6女児事件で全国調査


長崎県の小6女児事件を受け、全国で33都府県と5政令指定都市の教育委員会が、小学校のパソコン教育におけるモラル指導強化の必要性を感じており、31道府県と3政令市がパソコン教育を見直したり、見直しを検討していることが11日、分かった。

共同通信社が全国の47都道府県と13政令指定都市の教育委員会に調査・取材した。

事件に使われたカッターナイフについて、児童本人が自宅から持参する方式から、必要な数だけ学校に常備する方式への変更を福岡県教委が検討するなど、安全強化に向けた動きも出ている。

各教委によると、公立小学校にはおおむね児童7-30人に1台の割合でパソコンが配備されている。授業では、児童1人または2人で1台を使うことが多い。

以前からインターネットを利用する上で、他人の気持ちや名誉を傷つけたりしないようモラルやマナーを「指導してきた」と回答したのは38都道府県と12政令市。》



親も知らぬ間に……


また、米国の事例ですが、8歳の女児が殺害され、隣家の15歳の少年が殺人の罪で逮捕されたという事件がありました。

少年はおとなしく、いつも近所の子供たちと遊んでやり、周囲は「思いやりのある、面倒見のいい少年」という印象を持っていたといいます。

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子供のPC、覗いてみると……?
しかし、彼は自分の部屋に自分専用のパソコンを持っていました。捜査官が中を調べたところ、そこには無数の残虐性の高いポルノ写真がダウンロードされていました。少年は、調べに対して「写真を見ていたら興奮してきて、隣の女の子をいたずらしたくなったが、騒がれたので殺した」と答えました。

思春期に入れば、そういったメディアに興味を持つのは当然ではあります。しかし、インターネットが必要以上にショッキングであったり刺激的であったりする情報と子供との媒介役になる危険性をも持っていることに、教師も親も無知でいることはできません。


思春期とネットの付き合い方


一般に、子供がパソコンのスキルを身につける時期と、思春期の始まりはほぼ同時期です。この点に、教育界も親ももう少し敏感になる必要があるのかもしれません。

ネットにはメリットもあればデメリットもあります。例えば教育面での効率化・国際化や学習のための情報入手の簡便化。その裏には、いつでも他人を匿名で中傷したり、不適切な性の情報・暴力的な表現に触れたりできてしまう側面もあるわけです。



先の3政令市の一つである横浜市の調査では、小学生の74.1%、中学生の72.0%がパソコンが楽しく今後も使いたいと回答、保護者の67.2%も今後ますますIT教育を強化すべきと答えています。IT教育自体はニーズがあるのです。

そのためには、教育現場も親も自らのパソコンスキルを上げ、子供がパソコンの中で何をしているのかを知ることができるように備えておく必要があるでしょう。

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有害サイトへはアクセスさせない!
有害サイトへのアクセス禁止設定はもちろんですが、思春期の好奇心は、単に「ネチケット」を教えたり、「ネット利用にあたってのガイドライン」などを制定するだけでは歯止めが利かないということも、認識されるべきだと思います。


次回:【子ども最前線 佐世保ショック‐2】「小6女児の心の闇」


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