■公教育は転換する
キーワードは、「生涯教育」という点にあります。子供たちの家庭背景も様々であったり、引越しなどで転出入率も高く、地域によってカラーも様々な公立校。ここで全国的に一貫性のある教育を行うことへの行き詰まりがあるのです。
また、かつての共通一次世代などで盛んであった、厳しい詰め込み教育を行うことへの反省もあります。少子社会で子供の絶対数が少ない中、本当に子供のことを考えるのであれば受験第一の詰め込み教育を超えた教育――「主体的に自ら学び考える、問題解決能力」が必要であると、平成10年、文部科学省は教育課程審議会答申を発表しました。
ビジネスの世界ではもはや常識でもある、「問題解決能力」。公教育は、子供の成長を「一生涯」という長いスパンで捉え、総合的な学習に力を入れることで大人になってからも通用する人材を育成するという、長期的な視野へ転換したと言うことができるでしょう。
■不登校も「生涯教育」の通過点?
公立校に限ったことではなく、もちろん私立校でもよく見られることではありますが、不登校や、成人前後の「引きこもり」なども、結論としては「自らの問題解決能力」に起因する部分もあると考えられています。
こういった点からも、新指導要領が「家庭と地域の積極的な参加を求める」方向に進んだ理由が分かりそうです。客観的に見て、学校が生徒の事情を全て丸抱えするにはおのずと限界があります。学校に子供を任せっきりにするのではなく、子供は「まず家庭で育てられるものである」、そして学校はそれを導きサポートするものである、と、家庭の積極的な教育意識を呼び起こそうとしているのではないでしょうか。
そして、問題を抱える家庭へのサポートを、教育面に限らず、心理面、福祉面からも行えるような体制を作っていくのが、これからの行政の方向性であるようです。
■だから、「自分の子供は自分で守る」
様々な現象や事件が報じられ、子供たちを取り巻く現代の不穏な空気の中、結論として「自分の子は自分で守り、育てる」ことが求められている日本の子育て。
文部科学省、すなわち行政は、子供の成長を「一生涯」という長期スパンで捉えることで、本当の人格教育、人材教育を目指しているものと思われます。これを単なるお題目としてしまうかどうかは、教育現場と、保護者の意識の変化次第かもしれません。
学校は子供にとっての「社会」であり、一方で受験は単なる一通過地点に過ぎません。保護者世代とは全く異なる少子社会で、われわれ保護者が子供をどう育てるか、私たちにこそ意識改革が求められているのかもしれません。
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