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これまで、サルの研究から安易に引き出されたという
「3歳児神話」を否定する研究は数多くありましたが、
3歳児神話を統計学的にきちんと否定する研究はありませんでした。
このたび、厚生労働省が初めてこれをきちんと実証する
研究を発表しました!
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■ワーキングマザーに朗報
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ところが、このたび厚生労働省研究班が5年間の追跡調査を取りまとめ、これを実証しました。これほどまでに精密な研究で3歳児神話が反証されたというのは、発達心理学会的にも初めてです。
これで、家庭の保育は「量より質」ということが実証的に示されたわけです。
《引用: 5月16日15時付 共同通信》
「家族で食事」子供に大事 保育園で5年間追跡調査
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一定の基準を満たした認可保育園に限った調査で、ベビーホテルなどは含まないが、長時間保育の影響を調べた研究は世界的に珍しいという。
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研究班は1998年から毎年、全国の夜間保育園約80カ所の園児3000人前後の発達調査と親のアンケートを実施。今回は98年と2003年の調査にどちらも回答した185人の発達と保育時間、育児環境などの関連を分析した。
185人中、1日11時間以上の長時間保育の子供は28人、それ未満の通常保育の子供は157人で、保育時間の長さではコミュニケーションや子供の運動能力の差はなかった。
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■「クオリティータイム」が見直される
実はこのように、ワーキングマザーやファザーが帰宅後に子供と密接な時間(クオリティータイム)を持つことで、むしろ質の高い保育をすることができる、子供の発達に良い影響があるという考え方は、80~90年代の米国でずっと提唱されていました。
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しかし、その後の突然の大不況で、リストラ(ダウンサイジング)の嵐が吹き荒れると、母親が長時間仕事をすることは子供にとって良くない、"Back Home"(家庭へ戻ろう)という気風が台頭し、早期退職に応じる母親が急増して、世論は「クオリティータイム」を否定する方向へ走ってしまったのでした。
これをきちんとした形で実証する研究がなかったために、幼児の発達心理学上も「クオリティータイム」は宙ぶらりんとなったままでした。しかし、今回の厚生労働省の研究で、見直されることとなりそうです。
子育てとは時間の長さではなく、むしろ「家族の食事」の時間の影響が大きいという点からも、今後一層「食育」や「スローフード」への注目が高まりそうですね。
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