■2学期制の意義(ねらい)
横浜市教育委員会では、次のようなねらいを説明しています。
●長い学習期間にすることにより、ゆとりをもった弾力的な学習計画が立てられる
●授業時間数が増え、基礎学力の確実な定着を図ることができる
●体験的・問題解決的な学習を重視し、学び続ける意欲や知的好奇心を高める
●教育相談の充実によって学校と家庭の関係を密にする
●学校での学びと地域・家庭での生活の一体化を図り、「自らの生き方」を切り拓く資質・能力を高める
●各学校における創意工夫を生かした「特色ある学校づくり」への取り組みを促す
一学期100日間となることで、各校が独自に学校行事日程を見直したり、長期的なスパンで学習計画を立てたりなど、自由度が上がることは確かなようです。
■2学期制の課題
もちろん、新体制施行に際して、保護者間や教育現場には不安や混乱も生じてきます。これに対し、横浜市教育委員会は今後の課題として次のようなことを挙げています。
●長い学期での評価のあり方や評定の回数について
通知表が3回から2回に減ることで、学校での子どもの様子がわかりにくくなるのでは、という不安が上がっています。しかし、児童本人が自分の「今学期の目標設定」と「振り返り」が出来るような「学習カード」などを活用し、必要に応じて学校側からフィードバックするシステムを取り入れます。
また、学習評価については様々な資料を用い、今まで以上に充実した評価体系をつくることが必要です。
●時期に対する保護者等の理解を図る
例えば中学校の保護者からは、高校受験のときに「内申書」で他の自治体に比べて不利になるのではないかなどの不安が上がっています。実際には、前期までの評価に10月から12月までの評価の資料を加えて適切に評価をするということで、他の自治体に比べて不利になるというようなことはないそうです。
しかしこういったことに限らず、例えば仕事を持つ保護者が、子どもの長期休業のスケジュールが変化することで自分の仕事にも影響をこうむったりなど、様々な影響が考えられます。このように「変化に対する当惑」を、行政が具体的に支援し、的確に情報を発信するなど、説明責任を果たすことが要求されます。
公立小・中学校の2期制化という大きな潮流。「ゆとり教育」が決してポジティブな語られ方をしない中、行政と教育の現場が協力して試行錯誤する様子に、今後も期待が持たれます。
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