「がんばらない子育てのコツ~残りは神様がやってくださる!」(小学館)
ジョン・グレイ著 早野依子訳
定価:本体1400円+税 (四六判、本文288ページ)
心理学先進国アメリカから、恋愛&コミュニケーションの専門家ジョン・グレイ博士が贈る、
今からでも遅くない!最新、知的子育て本の決定版!
父親の犯す過ち「解決屋」
男性は、女性が「おしゃべりを目的としたおしゃべり」をするのがなかなか理解できないもの。「言ったって仕方のないことを延々しゃべって、そんなのはしょせんグチか井戸端会議だ」というわけです。
男性は「問題を解決することが大好き」。それは、子供が父親に不満を訴えたり、ただ話を聞いてもらいたいときには、結果として子供を傷つけてしまうということに、父親は気づいていません。
世間の父親が犯す過ちの中で一番多いのが、気が立っていて反抗心を表に出す必要のある子どもに対して、共感ではなく解決策を示すことだ。父親は往々にして、子どもが望んでいるのは気が立っている理由を理解してもらうことであり、解決策を提示してもらうことではないということを忘れてしまう。(第3章)
・心配するな。
・だから何なんだ?
・よくあることさ。
・いいからやれ。
・何を言いたいのかよくわからない。
・パパにどうして欲しいんだ?
父親は、解決をしようとするあまり、このような言葉で「子どもが抱えている、問題そのものを無視してしまう傾向」があるのです。
「子どもの問題を解決してあげてもかまわない。しかしそれは、子どもがそう望んでいる場合だけだ。」そして、「子どもの問題を解決しようとするのをやめれば、あなたも子どもも楽になるのだ。」と、博士は説きます。
母親の犯す過ち「向上癖」
最近よく目にするのが、「うちの主人のファッションを何とかしたい!」とかいう、TVや雑誌の変身企画。これが「うちの妻/彼女の・・・」という企画だったら「余計なお世話!」と大ヒンシュクものですが、「ご主人のファッションを○○風に!」なんて番組は花盛り。この手の企画、男性側にはどう映るんでしょうね?
女性は、物事を向上させることが大好きだ。・・・女性は男性を愛すると、その「向上癖」を男性に集中させる。男性はしばしば、女性のそうした余計な助言を拒絶する。母親になると、女性の「向上癖」は子どもに注がれる。(第3章)
グレイ博士は、これを「過保護」の原因だとしています。特に男の子にとっては、こうした「過剰に心配したり、行動を正したり、助言をしたりする母親の行為は有害」なのだといいます。「3回褒めて、1回注意するくらいがちょうどよいバランス」で、その際、直接的に注意して反発を生むよりも、正しい行いへと導くような言い方を心がけるといいそうです。
・お皿を出しっぱなしよ。⇒お皿を流しまで運んでちょうだい。
・家の中で大声を出すんじゃありません。⇒おうちの中では静かに話してね。
・靴紐が結べていないわよ。⇒靴紐をちゃんと結んでちょうだい。
母親の過剰な助言を受ける子どもは、親の気遣いは感じても、信頼を感じることはできません。また、「大人になってからも、母親から愛されていることは感じていても、危険を冒すことに対する恐怖心は克服できない」のです。
もちろん、「子どもが明らかに助言を求めている場合には、適切な助言は非常に有効」です。しかしそうでない場合、結果として、子どもはいずれ、母親の言うことに耳を貸さなくなってしまいます。
次ページ: ふむふむ、もっと読みたい!前向きな子育てのコツ