「余地」の残されたおもちゃ
2000年末に横浜三越で開催された「おもちゃ博物館展」で、スイスNaef(ネフ)社の幾何学的な立体パズルが置かれていた。子供が手に取って遊べるようオープンになっていたが、ここでもまた子供たちが熱狂していた。シンプルなおもちゃだけに、いかようにも組める。いかようにも想像力を働かせられる。子供たちのイマジネーションは尽きず、目を輝かせて組んでは崩し、組んでは崩すのである。
「おもちゃのデザインは、子供の想像力のための余地を残すことでむしろ完成なのだ」と、そのとき感じた。自分で考えていかようにも遊べるおもちゃこそ、子供には楽しい。そして、その秀逸なデザインは、大人にとってはエキサイティングにすら映る。計算され、子供たちのために細部までケアされた「シンプル」。
木のおもちゃは、大人をも魅了する
さて、木のおもちゃのデザインに魅入られて、木製玩具ショップを始めた大人がやはりいた。自由が丘2丁目にあるおもちゃ専門店、「HARPERS FERRY'S(ハーパース・フェリーズ)」取締役社長、鈴木正巳氏である。
「お客様の層は、年配の方も多いです」と鈴木氏。「お孫さんへのプレゼントですとか……みなさん懐かしがって買っていかれますね」木のおもちゃというと、単価が高いものだと思っていたが、ここでは他で見るよりも安価なものが多かった。
木だけではなく、紙製の、自分で作るおもちゃのキットもあり、子供の遊びのバリエーションも広がりそう。
特によく売れるのは、カラフルなドイツ製のベビーカー用玩具。ベビーカーの正面のバーに取り付け、散歩中の赤ちゃんを楽しませてくれる。
「ギフトとして買われる方が多い商品です」おもちゃ自体長持ちするので、きょうだいで受け継いでいくことも多いに違いない。
白木のおもちゃを、知育玩具という観点から見る風潮が強いが、それはナンセンス。ただ「良いおもちゃ」、それでいいではないか。それはすなわち、子供だけでなく、大人をも魅了するおもちゃ。おもちゃに「知を育てられる」のは子供だけではないのである。
★HARPERS FERRY'S
〒152-0035 目黒区自由が丘2-15-20 メイプルツインビル2階
TEL/FAX: 03-5729-2882
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