木のおもちゃに
夢中になる子供たち


木のおもちゃ、特に白木で作られた、ヨーロッパ製のおもちゃがコンスタントな人気を博している。この人気はもちろん今に始まったことではなく、60年代からヨーロッパのリベラルな教育文化が浸透する中で徐々に広がったもののようだ。

戦後のプラスティック文化の洗礼を受け、おもちゃといえばカラフルで軽いプラスティック製と相場の決まっている現代の日本で、あえて白木のおもちゃを子供に与える。このことは、いまやちょっとした贅沢になってしまった。

JR京都駅に隣接した、ジェイアール京都伊勢丹のおもちゃ売り場。その一角に、ドイツやスイスなど、ヨーロッパ製の木製玩具が取り揃えられた大きなコーナーがある。

子供たちが実際に手にとって遊び、体験できるよう、中央のスペースには丸テーブルと数脚の小さな椅子が置かれ、いくつかのおもちゃが置かれている。2歳の男の子が、マッチ箱ほどの赤い車を手にして、白木を組み合わせたスロープに落としては、車の走り行くさまにうっとりと見とれていた。

このコーナーに並べられているのは、ほとんどが(株)アトリエ ニキティキによる輸入玩具のコレクション。木と、布と、紙と少々の金属を素材とするおもちゃに囲まれたこの空間に、子供たちが夢中で集う。


おもちゃの「呼吸」

娘がプリスクーラー(就園前保育園児)だった頃、私はオーガニック食をモットーとしていて、有機野菜の宅配サービスや自然食品ショップを利用していた。日本においては、オーガニックとヨーロッパの教育は同じ文脈上で語られる事が多く、そういったオーガニック食品と一緒に白木のヨーロッパ玩具を提供していたのが「大地宅配」「らでぃっしゅぼーや」だった。

おもちゃのカタログを眺めながら、なんともいえないやわらかな気持ちにさせられた。赤・青・黄・緑と白木の色味、丸や四角や三角の、至極シンプルな形状、そして、子供の手にしっくりくるように角を丸めた優しい感触。日本のおもちゃ屋にある、昔ながらの木製積み木と一脈通じるが、しかしそれ以上にもう日本のプラスティックおもちゃにはなくなってしまった、おもちゃの「呼吸」が感じられたのだ。

コルクボードに釘で打ちつけるパズルや編み機など、ちょこちょこと購入しては娘と遊んでいたが、むしろ私のほうが思い入れが強かったかもしれない。しかし、今でも娘は時折それらの木のおもちゃを棚から出してきては遊んでいる。おもちゃとしての命が長いのだ。

日本でも米国でも、ヨーロッパのおもちゃは少し格上である。おもちゃとしての単価はかなり高い方に属するのではないか。輸入品ということもあるが、製造過程での手間のかけ方が違うのだろう。

手のひらに乗るような「ガラガラ」類で3000円前後、シロフォンが8000円、動物型やら人型やらの立体的なパズルセットで15000円、人形の家は30000円くらい。そのため、子供にいくつも買い与えるというのは難しい。しかしそこは発想の逆転で、必要にして十分なおもちゃというのは、実はこういったシンプルなおもちゃ数点だったりするのではないかと思うのである。