後悔しない雛人形選びに、重要なポイントとは?

後悔しない雛人形の選び方

後悔しない雛人形の選び方

女の子が授かったら迎える初節句。初節句につきものの雛人形はどこを見て選べばよいのでしょうか? ひな人形のチェックポイントをご紹介します(編集部追記※この記事の取材内容は初回公開日:2008年02月時点のものです)。
   

雛人形の選び方1. 顔・手・足をチェック

雛人形顔1
彫り込んで胡粉を塗った職人仕事のお顔。まぶた・鼻・耳・口に注目
雛人形顔2
石膏を型抜きしたお顔の一例。耳たぶにバリが残り髪の生え際も雑。こういったつくりのお顔には中国製のものも
雛人形手1
木に胡粉を塗った手作りの手。鋭く切り込まれ、ツヤがあります
雛人形手2
型抜きの手の一例。よく見ると毛羽立っているよう
雛人形足
お内裏様を下から見ると、ちょこんと足が。ふっくらとした靴下も履いています
まず最初にチェックしたいのは雛人形の主役、お内裏様(男雛)とお雛様(女雛)。顔を見てみましょう。大きく分けると、職人手作りのお顔と、型から抜いたお顔の2種類があります。お内裏様とお雛様のお顔がどちらなのかをチェック。

伝統的な衣裳着人形では、職人手作りのお顔には胡粉(ごふん)という白い貝殻の粉からつくられた顔料が塗り重ねられています。肌が光を柔らかく反射しふんわりとして見えます。

口や目が鋭く切り込んであったり、髪の生え際やまゆげなどに細かい手が入っています。口の奥に歯や舌が見えるものも。歯を黒く塗る習慣「お歯黒」が見られることもあるので、お雛様の口の中をのぞいてみましょう。

一方、型から抜いたお顔は肌がてかっているように見えます。彫り込みや細かい細工が無いものもあります。

木目込人形などの他の方法でつくられている雛人形の場合も、手作りか、顔の素材は何かチェック。

職人手手作りのお顔・型でつくったお顔。欲しいと思うのはどのお顔なのか、見比べてみましょう。

手や足も見ておきます。お顔が手作りで手は型抜きという場合もあります。手作りの手は指の1本1本がハッキリしています。

雛人形を手に取って見ることができれば、お内裏様の足もチェック。つくり込んであるお内裏様では足を見ることもできます。目に見えにくいところにも手が入っているのが職人手仕事の証。こだわりを知りたい場合は、お人形を手に取って見てみるのもオススメ。

お雛様のお顔は様々。京雛と江戸雛で顔立ちが違います。いわゆるお公家顔が京雛、目がぱっちりして現代的な顔が江戸雛。このページの一番上の画像のお顔は京雛です。京雛を選ぶ人が多いようですが、江戸雛の顔立ちのほうがかわいくて好きという人も。
また、最近人気が上がってきているのは木目込人形。愛らしい表情が好まれています。型崩れしにくいため保存がしやすく、コンパクトに簡単に飾れるのが喜ばれている理由。

好みだったから、赤ちゃんの顔に似ているから、こんな顔に育ってほしいから、そのお顔を選んだ理由はそれぞれです。

 

雛人形の選び方2. 値段の差が出る!衣裳をチェック

雛人形絹
正絹の衣裳。なだらかに流れています
雛人形化繊
化学繊維の衣裳の一例。ざぶとんみたい?
雛人形帯地
帯地の衣裳。美しく豪華
雛人形化繊2
化学繊維の衣裳の一例。裳はプリント
雛人形そで
本着せの衣裳。袖の中をのぞくと向こう側が
お内裏様とお雛様の衣裳は、まず材質をチェック。絹・化学繊維と絹が混ざったもの・化学繊維と、主に3種類あります。絹が100%の生地を特に正絹(しょうけん)といいます。

「衣裳には絹が使われている」と説明された場合でも、絹100%とは限りません。見分け方としては、化学繊維にはてかりやごわつきがあり、正絹にはなめらかな光沢と柔らかさがあります。

正絹といっても、古典的な紋様やお雛様らしいかわいらしい柄で染めた生地、キラキラと光る金粉金箔で彩った生地、刺繍が施された生地、帯用に織った生地など様々。刺繍や金箔が入ると華やかさを、帯地は重厚感や高級感を出す衣裳になります。最高級となる帯地の衣裳を選ぶのもよいですが、シンプルな衣裳や子どもが喜ぶかわいい柄の衣裳のお雛様もまたよいもの。

衣裳の材質・生地を確認したら、縫製や仕立てもチェック。あとは好みの衣裳を選ぶとよいでしょう。価格としては、化学繊維では何千円単位~、正絹では何万円単位~、中でも帯地では何十万円単位~となります。

ひとくちに衣裳といっても、着せかたに種類があります。全身に重ね着のもの・上半身だけ重ね着して下とくっつけたもの・えりとそでの表に見える布が重なった部分だけを貼りつけたもの。どの着せかたなのかもチェック。

お雛様のそでの中をのぞいてみるのも見分け方です。そでの中から向こう側が見通せるものが着せてあるタイプのお雛様。

えりとそでを貼りつけたお雛様は手に持つと軽く、「本着せ」と呼ばれる1枚1枚きものを重ね着しているお雛様はずっしりとした重さがあります。できれば手に取ってみましょう。

衣裳の選択肢にはオーダーメードという方法もあり、工房直結の人形店などに生地を持ち込んで雛人形をオーダーすることもできます。行くことが可能なら実際に工房に行って依頼してみても。おばあちゃんのたんすで眠っている思い出の帯を衣裳にして雛人形をつくり赤ちゃんに贈るというのもまた素敵ですね。
 

雛人形の選び方3. 小道具をチェック!

雛人形扇子
胡粉を塗った手描きの柄の扇子。閉じます
雛人形刀
彫金を施した刀。実際に抜けます
お内裏様とお雛様の持っている小道具にも注目。お雛様の持っている扇子の素材は紙・プラスチック・木・胡粉が塗ってあるものと様々。閉じられる扇子・閉じられない扇子があります。

お内裏様が腰に差している刀も同じ。刃が抜ける刀・抜けない刀があるので、小道具は違いがわかりやすいところ。1枚1枚柄が手描きの扇子や、彫金が施されている刀もあるのでチェック。
 

雛人形の選び方4. 大きさをチェック!

飾る場所に合った大きさのお内裏様とお雛様を選びます。置くスペースが限られている場合、お内裏様とお雛様だけの親王飾りを選べば、スペースいっぱいのサイズを使って衣裳の裾が長く豪華に見える大きめのお人形を選ぶことできます。

お内裏様とお雛様・三人官女までの五人飾りにするとお人形がやや小さめに。五人囃子・随身(ずいじん)・仕丁を入れた段飾り(多くは七段)でもお人形はやや小さめになり、段の奥行きも必要になります。三人官女以降を後から追加していくこともできるので、まずはお内裏様とお雛様だけを購入して飾り初節句を祝い、スペースができた時に段飾りにするという選択も。価格的には飾りかたそのものでの差はありません。

「お雛様はその女の子の守り神」とされひとりに一体ずつ新しいお人形を用意するものだともいわれています。妹ができれば妹にも必要とされます。妹のお人形は必ずしもお雛様ではなくてもよいようですが、姉にはお雛様があり自分には無いとなると妹の気持ちも考えておきたいもの。お雛様がいれば未来の結婚相手を意味するお内裏様もペアで用意することに。すると、ふたり目三人目と女の子が誕生のたびにお雛様とお内裏様が1組ずつ追加されます。三人官女以降は共有で良いそうですが、お内裏様とお雛様が大きいとやはり場所を取ります。省スペースになる立ち雛などを選ぶこともできますが、先の計画も考慮に入れて大きさを選んでおくといいですね。

 

雛人形の選び方5. お道具をチェック!

金屏風1
金沢箔の金箔押屏風。開くとピンと延びるのが職人技
金屏風2
金紙を貼った屏風。開いて延ばしてもここまで
木製雪洞
中をのぞくと木製の雪洞には支えがあります。プラスチック製にはありません
お道具
右が純金の蒔絵。金粉で絵が盛り上がっています。左が金色の塗料の蒔絵。
お花
絹製で手切り手染めの手作りのお花。実物はうっとりするほど奇麗
大きさを決めたらお内裏様とお雛様を囲むお道具をチェック。

背後の屏風(びょうぶ)に使われる素材には木・布・プラスチック・紙などがありバリエーション豊富。漆塗りに純金の蒔絵(まきえ)が施された職人手仕事の屏風・刺繍が施された屏風・金箔が貼ってある屏風・金色の紙が貼ってある屏風・印刷の絵が貼ってある屏風と様々。親王飾り・三段飾りでは台とセットになった屏風が多くあります。

七段飾りではオ-ソドックスでシンプルな金屏風を合わせることが多いですが、親王飾り用には凝った屏風が多く、購入価格を左右する金額になります。親王飾りを考える場合には屏風をどうするかも考えておきましょう。

お内裏様とお雛様のお顔を照らす雪洞(ぼんぼり)の素材には、木・竹・プラスチックなどがあるのでチェック。コードが垂れ下がらない電池対応のコードレスタイプもあります。

三方(さんぼう)などのお道具の素材にも木・竹・プラスチックなどがあるのでチェック。木製の木目を生かして塗装し装飾を施したもの・漆塗りに金の塗料や純金で蒔絵を施したのものなど様々。木目を生かしたシンプルなお道具は素朴な魅力があり価格が抑えられ、漆塗りに純金の蒔絵のお道具は何十年と変わらない輝きを保ち価格としては高くなります。

七段飾りの場合はお道具の種類が増えるので大きな金額になってきます。七段飾りのフルセットを考えている場合はお道具も考えておきましょう。

向かって右に桜、左に橘を飾るのが雛飾りのしきたり。紅梅白梅の場合もあります。この造花もチェック。素材には絹・化学繊維・紙などが使われています。花には型抜きの花・手切りの花と種類があり、絹製の手切りで手染めのお花は最高級。繊細で美しく心奪われるものがあります。

でも、お道具はあくまでも雛人形の引き立て役。お内裏様とお雛様に合ったものを選ぶことが大切。お道具は後から追加したり交換したりすることができるものです。予算に限りがある場合はお内裏様とお雛様にかけましょう。実家や親戚の家に眠っているお道具が使えるようならそれでも大丈夫です。雛道具はコレクターもいるほど愛らしいもので、あれば楽しめ、嫁入り道具のひな形としての意味がありますが、必ず必要なものでもありません。屏風の代わりに布を下げたりお道具の代わりにアートフラワーをコーディネートして飾るのもまた素敵。もちろんお雛様を守り神としてまつり、三方でお供えしても。子どもに意味を教えてあげるにはよい機会です。

 

雛人形の選び方6. 収納をチェック!

親王飾り
お内裏様とお雛様だけを飾るのが親王飾り【画像提供】人形のプーペ
三段飾り
三人官女を加えて三段飾り。台の中にお人形が収納できるタイプ【画像提供】人形のプーペ
忘れちゃいけないのが収納。親王飾り・三段飾りでは、台の中に雛人形を収納できるタイプが人気。でも、お人形の保存に良いのは1体1体をそれぞれ箱にしまうこと。収納タイプでは収納した雛人形が押し合ったり倒れたりしないかチェック。

収納タイプではない大きなサイズの親王飾りや七段飾りの場合は収納場所を確保してから購入を。

収納には高温になる場所や湿気の多い場所を避けます。購入した店によっては保管のサービスをしているところもあるので利用するのも手。お人形やお道具の数が増えると収納に時間もかかります。収納に手間をかけられるかも考えて。

ガラスケースに入っている雛人形もありますが、ガラスケースは意外と収納に場所を取るもの。飾る期間が1ヶ月ほどなら、雛人形にガラスケースが必要か、ケースの収納場所があるか、予算をケース代にもまわせるかも考えておきましょう。

ガラスケースにはどういう意味があるのでしょうか? 今回取材した人形店人形のプーペでは「お雛様は赤ちゃんの守り神です。神様をまつってある神棚がケースに入っていますか? 入っていませんね。神棚をケースに入れないのと同じように、守り神の雛人形をガラスケースに入れてはいけません」と語ります。でも長期間飾るとほこりや汚れが気になるもの。守り神としてではなく、季節イベントとしてインテリア的に飾る場合などにガラスケースが選ばれるようです。

 

雛人形の選び方7. 購入先をチェック!

店頭で
やはり一生もの。実際にお人形を見て選びたい
購入のポイントについても人形のプーペにうかがってみたところ「できるだけたくさんの雛人形を見てまわることが大事です。実際に実物を見ると違いがよくわかります。雛人形選びで一番大切なのは、雛人形とのフィーリングが合うこと。多くの雛人形を見て、雛人形の雰囲気が好みだと思うものを選ぶのがポイントです」とのアドバイスが。

とはいっても、赤ちゃんを連れてたくさんの雛人形を見てまわるのは大変なこと。あらかじめ購入先を絞って見てまわるのが現実的です。雛人形の購入先として多いのは人形店と百貨店。人形店の雛人形と百貨店の雛人形は、どう違うのでしょうか?

違いについて日本人形協会にうかがってみました。「人形店で買うか百貨店で買うかは、お酒を小売店で買うか百貨店で買うかの違いのようなものです。人形店の場合は買った店に行けばいつでもアフターケアが受けられる安心感があり、百貨店の場合には百貨店のブランド力があります」。なるほど、お酒を買う時に蔵元直売の店に出向けば、そこにしかないこだわりのお酒を専門の店員さんから説明を聞いて購入することができます。一方、百貨店では多種類のお酒を一度に見ることができ、百貨店の保証やサービスを受けることができます。雛人形選びも同じことのよう。専門店のこだわりか、百貨店のブランドか、どこにポイントを置くかで見てまわる場所が決まってくるようです。

同じものなら少しでも安く買いたいのが人情。人形店の場合、雛人形を求める人が混み合う季節(1~2月)をはずして秋に購入すると早期割引があるお店も。人形店では表示してある価格から割引いてもらえることが多く、高額なものほど割引価格も大きくなるので早期割引はあなどれません。気候の良い10月~11月頃に人形店をまわってみるのもガイドおすすめの方法です。秋にまわれば早く売り切れる人気の雛人形が手に入るかも。でも、初節句の直前に生まれた場合にはそうもいきません。翌年に初節句を延ばしてゆっくり雛人形を選ぶのもアリですね。

今回は日本伝統の雛人形をご紹介しました。雛人形はひとつひとつひとりひとり様々。母親が娘のために手作りする木目込人形の雛人形や、わが子が好きなキャラクターの雛人形、ファッションが素敵な雛人形、作家性の高い雛人形、思いをこめてプレゼントされた雛人形。いろいろな雛人形があります。どんな雛人形でも、一所懸命に選んで大事に飾れば、それがわが子にとって一番の雛人形。成長を願う気持ちに変わりはありません。オンリーワンの雛人形に出会えますように。

取材協力/社団法人日本人形協会 人形のプーペ
 

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