脂肪の弊害
おなかに脂肪が付くと、呼吸するときに上下する「横隔膜」が下がりにくくなり、息が吸いにくくなるという面もあります。こうなると、喘息の症状が出やすくなってしまいます。そして、体重が増えることで動くときに肺・気管支への負担が高くなると、喘息発作が誘発されやすくなります。他に、おなかに脂肪が付くと胃酸が食道へ逆流しやすくなります。胃・食道逆流は喘息症状を悪化させることが知られています。
ところで、肥満細胞という細胞をご存じでしょうか。アレルギーの説明をされるときによく出てくる言葉ですが、この細胞、「肥満」と関係があるのでしょうか……?
肥満細胞は脂肪細胞とは別物
肥満細胞と脂肪細胞は、よく混同された情報が飛び交っていますが、全く違うものです。脂肪細胞は、肥満になるときに脂肪をため込む、あれです。私たちの敵(笑)ですね。それに対して肥満細胞は、実は肥満とは全く関係なく、アレルギーの中心的な役割をする細胞です。肥満細胞はアレルギー反応の中心的な役割を果たす物質「ヒスタミン」などを分泌しています。分泌物などで丸々と太って見えることから、「肥満」細胞と呼ばれています。つまり肥満細胞は脂肪をため込んだりするわけではありません。肥満細胞を「肥満の時に出る細胞で……」と書いているサイトもありますが、それは誤りですので気を付けましょう。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の診察室での会話をもとに構成したものです。診断・相談が必要な方、お子様が病気にかかった場合は医院、病院で実際に受診してください。
<参考リンク先>
子供を喘息にしない3ポイント