虐待の後遺症は一生を左右する
11月は児童虐待防止推進月間。オレンジリボンキャンペーンも実施中 |
また、親からもらえなかった愛情を埋めようと不幸な恋愛に依存したり、自分の子どもへの上手な愛情のかけ方が分からず、親からされたことと同じこと(虐待)を繰り返してしまうこともあるのです。これが虐待の世代間連鎖と呼ばれるものです。
親といっても、完璧な人間はいません。何気ない一言が子どもの一生を左右することもありますが、子どもは親とのやりとりで埋められなかった課題を自分の人生の課題として乗り越えながら大人になっていきます。
「こういう叱り方でよかったのだろうか」「私の何気ない行動が子どもを傷付けてしまったのではないか」と悩んだり困惑することもあるかもしれませんが、子どもはいつも親の愛を待っています。まずは子どもを抱きしめてあげましょう。スキンシップは言葉よりも多くのものを五感で伝えてくれます。そこから少しずつ会話を広げていけばいいのです。やむを得ず強く叱ってしまった場合には子どもにその理由を伝え、行き違いがないように根気良く話をしましょう。親子関係のコミュニケーションは、人が社会で生きていくうえでの基礎になる最も大切なものなのです。
子どもの立場に立って考え、愛情を伝えよう
こういった悲しい連鎖を起こす背景には親自身が自分の親から十分な愛情を受け取っていないことも一因であります。ですが、「子どもの生きる権利を守る」という立場に立ち、意識を変えて子どもと向き合うことが大切です。11月は子ども虐待の防止を呼びかける児童虐待防止推進月間です。2004年に「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」が改定されたことにより、周囲からの通報が義務化され、虐待の検挙率は上がりました。19年度の虐待相談対応件数は40,639件(子どもの虹調べ)と年々増加しています。虐待が発見されて子どもたちを守れる数が増えたのは良いことですが、虐待の件数はもっと減らしていかなければなりません。
この機会に虐待について知り、他人事ではなく社会全体の子育てとして、「子どもの権利」を育む社会を作っていきましょう。地域の子どもたちを社会全体で守れる世の中にしたいですね。