紙製品を販売してきた永い歴史
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創業当時の店。看板には大きく「紙」とある
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「アサヒヤ紙文具店」という店名に「紙」が先に来ていることからわかるように、同店は元々紙を中心に販売をしてきた歴史がある。その流れはリニューアルされた今回の売場にもしっかりと息づいている。
入り口を入った左手には、30個のもの引き出しがズラリと並んでいる。その引き出しにNo.1、No.2、No.102など番号が不規則に続いている。人は、引き出しを目の前にすると、開けてみたくなるものだ。
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左/ズラリと並んだ引き出し 右/中には、満寿屋の原稿用紙が品番別に収まっている |
そのひとつを引き出してみると、そこには原稿用紙が入っている。この引き出しには、満寿屋の28種類全での原稿用紙が入っているのだ。先ほどの番号は品番。特筆すべきは、こうして満寿屋の原稿用紙が全種類店頭に並べられている点。こうしたお店は他にはないという。
その隣には便せんコーナー、そしてカード、ノートコーナーへと続いている。ノートコーナーには萩原さんも開発に携わったというライフのノーブルノートをはじめ、速記用のステノノートなどこだわりのセレクトだ。
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左/洋を問わずセレクトされた便せん 右/紙質にこだわったノート類 |
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オリジナルの帳簿式3年日記帳7350円。後ろ姿が実に美しい |
その中に、アサヒヤさんオリジナルの日記帳があった。これは「帳簿式3年日記帳」というものだ。まだ、パソコンなどない時代、会社の会計情報は帳簿が全てを担っていた。会社にとって重要な情報を書き記すものなので、一般のノートよりも数段頑丈な作り込みがされているのが特長。
その帳簿スタイルを日記に取り入れて作られたのが今回のもの。背には「バンド」と呼ばれる趣のあるふくらみがある。本棚などに入れた時に、他のノートとは違う重厚感を生み出す。これはそうした飾りとしてではなく、実用上から生まれたものだそうだ。机の上で広げた時、背に書かれたタイトルが机にこすれて痛まないように保護するためだ。
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左/コーナーの補強などクラシカルなデザイン
右/見開き性に優れた製本 |
この背とハードカバーはつながっているのだが、実は構造上は別パーツ。これにより、表紙の開き具合を良くしている。表紙の角に付けられた補強など随所に昔ながらの知恵と技術が盛り込まれている。
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左/ファイル類も充実 右/スケール、ステープラー、カッターなど思わず手にとってみたくなるこだわりのステーショナリーが並ぶ |
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店内の空調を整えるために、絶え間なく回っているファン |
天井に目を移すと、「シーリングファン」というプロペラがおおらかに回っている。実はこれ、紙製品のためにあえて取り付けたという。ご存じのように紙は湿度や乾燥による影響を受けやすい。このファンを回すことで、店内の空調を整えて紙製品のソリなどを防ぎ、品質を保っているのだ。さすが、紙にこだわる同店ならではの配慮だ。
次のページでは、「オーナー渾身の試し書きコーナー」をご紹介。