コクヨ mousu mousu ノート
コクヨと言えば、ノートというくらい広く親しまれているメーカーだ。そのコクヨが今年で創業100周年を迎え、彼らの得意分野であるノートをもとに大変ユニークな試みを行っている。
それがAn(エーエヌ)プロジェクトだ。これは、様々な分野で活躍されているアーティストや作家の方々とコクヨがノートを元にコラボレートするというもの。ノートというものは、すでに成熟されている商品なのだが、アーティストの柔軟は発想により、これまでにないユニークなノートが次々と作り出されている。
今回は、そんな中からアーティストの村山華子さんによる「mousu mousu」をご紹介したい。
読むノートという、これまでにない発想
懐かしい感じがする大学ノート風「mousu mousu」と書いて、「もうす もうす」と読む。これは、電話で話すときの第一声である「もしもし」から来ている。そもそも「もしもし」は「申し上げる 申し上げる」→「申す 申す」→「もしもし」と変化していったと言う。
このノートはそんな電話で繰り広げられるおしゃべりがコンセプトになっている。
表紙を見てみると、昔懐かしい大学ノート風にデザインされている。よく見てみると、一番上に描かれているのは今はもうあまり見かけなくなった黒電話。遊び心があってとても楽しい。その表紙を開くと、目にも鮮やかと言うか、まぶしいくらいにキラキラした銀色の見開きページが突如と現われる。ここは書くページではなく、眺めるためだろう。仕事に行き詰った時など、気分転換に眺めているのもいいかもしれない。
このノートはそんな電話で繰り広げられるおしゃべりがコンセプトになっている。
表紙を見てみると、昔懐かしい大学ノート風にデザインされている。よく見てみると、一番上に描かれているのは今はもうあまり見かけなくなった黒電話。遊び心があってとても楽しい。その表紙を開くと、目にも鮮やかと言うか、まぶしいくらいにキラキラした銀色の見開きページが突如と現われる。ここは書くページではなく、眺めるためだろう。仕事に行き詰った時など、気分転換に眺めているのもいいかもしれない。
キラキラとしたページが突如としてあらわれる
そして、そのページをめくると、うって変わって、ごくふつうの横罫線の引かれたノートが連綿と続いてる。
一見、ふつうのノートのように見えるが、実は・・・
だが、ノートに顔を近づけてよーく見てみると、その罫線だと思っていたものは、なんと、ひと文字ひと文字の言葉で綴られている。このページだけかと思い、すべてのページをパラパラとめくってみると、それはすべてのページに渡っていた。
罫線と思われていたその線は、文字で出来ていた
実はこれこそ、このノートのコンセプトである電話のおしゃべりを表したものなのだ。24本の罫線のようになっていたのは、24人による電話でのおしゃべりのストーリーが綴られていたのだった。
「今、電話の中で交わされているのは、会話というよりもむしろ、おしゃべり。普段の電話の中では無数に飛び交っているそうしたおしゃべりは、書き留められることなく、そのまま消えてしまっている。そんなおしゃべりをまとめたノートをつくりたかった。」という。
人と人との関係が希薄になっている今、かえって、こうしたとりとめもないちょっとしたおしゃべりによって、人とつながっているという感じを強めているのかもしれない。
このノートに登場するのは、IT系企業のサラリーマン、敏腕ぶりを発揮しているオフィスウーマン、20才代の若者、母親の仕事を手伝う文系の女性、大手不動産会社に勤める営業マンなど、どこにでもいそうなごくふつうの等身大の人たちばかり。そうした24人のおしゃべりが48ページに渡って、パラレルに進行している。読んでみると、とても親近感がわいてくる。
次のページでは、このノートの実用性について迫ってみたい