ステーショナリー・文房具/ボールペンを愉しむ

あなたの手に合わせて、グリップの大きさが調整可能 ベストポジションという心地よさ

快適な筆記にかかせないグリップ。人の手の大きさは色々ですが、このペンは自由にグリップの大きさが調整できる優れもの。ペンの老舗クロスが作った快適な筆記ができる素敵なペンです。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド

クロス モーフmorph ボールペン
ペンは文字を書く道具なので、快適な筆記ができるのが基本です。快適な筆記には、適度な重量、形状など色々とありますが、とりわけ重要なのがペン先をコントロールするために指を添えるグリップ部分です。このグリップの握りやすさへの挑戦は、これまでも多くのメーカーがいろんな方法で取り組んできました。今回ご紹介するクロスのモーフはこれまでにない、ちょっと変わった仕組みを持っています。

クロスの新しいデザインの流れ

クロスと言えば、細身のボディのペン、センチュリーを思い浮かべるのではないでしょうか。クロスのフラッグシップのペンとして約50年という永い間、基本的なデザインは変わらずに、今も多くの人たちに愛され続けています。そのクロスが2000年にブランドのロゴデザインを変更して以降、モダンなスタイルのペンを次々と発表しました。このモーフもそのひとつです。


モーフのグリップに隠された秘密とは

クロス モーフmorph ボールペン
グリップの上のダイアルを回すとグリップの大きさが調整できます。
クロス モーフmorph ボールペン
ダイヤルを回す前の通常の大きさ
クロス モーフmorph ボールペン
最大でこんなにも大きくなります。
三角軸のフォルムをしたグリップは、ブラックのシリコンラバーで覆われています。シリコンラバーと言っても、ふにゃふにゃとしたやわらかすぎる感触はありません。適度な弾力があり、指先に程よくまとわりついてきます。そのグリップの上に目を移すと、見慣れない大きなダイアルがあります。そのダイアルを回してみると、なんと、グリップがみるみる大きくなっていくのです。私は、店頭ではじめてこの動きを見た時、新鮮な驚きを感じました。グリップが大きくなると言っても、ちょっとイメージしにくいかもしれませんが、三角軸のラバーグリップの中に3本の骨組みが入っていて、その骨組みがダイアルを回すと同時に外側にぐわぁっと張り出していくというものです。ちょうど傘が開く感じに似ています。大きくなってもふわふわとした感触はありません。表面はシリコンラバーのやわらかさを残しつつ、内部の骨組みと軸構造によりしっかりとした固さがあります。しかも、そのダイアルは任意のところで止まりますので、自分にぴったりと合ったグリップの大きさにすることができるのです。

これまであった柔らかい素材を使ったグリップのペンでは、指を押し込むことで、握りやすさを実現していましたが、このモーフは、グリップを大きくすることでベストグリップを作り出すというと斬新な仕組みが採用されています。三角軸のそれぞれの面が大きくなることで、握る時の指のはらが接する面積が広がり、より安定したグリップが得られます。

実際のところ、グリップがどれくらい大きくなるのか計ってみたました。何もしない状態の三角軸の1面の幅が11.5mmなのが、ダイヤルを回しきると最大で14mmまで広がります。私は結構大きな手をしていますが、13mmくらいがちょうど良いサイズでした。やわらかなシリコンラバーと自分の指にピッタリとくる大きさのグリップとがあいまって、それはそれは、快適な握り心地が得られます。ボリューム感のあるデザイン、そしてこのグリップが大きくなる機構も搭載しているにもかかわらず、手にしてみると意外に軽いことに驚かされます。それは、ボディの大半に使われている軽量のアルミニウムのおかげでしょう。


クロス モーフmorph ボールペン
とても個性的なクリップ。機能性もよく考えられています。
モーフがこだわったのは「グリップ」だけではありません。「クリップ」もそうです。鉄板を巧みに折り曲げて作られたユニークなフォルムの先には小さなボールがちょこんと配されています。ちょっとみただけでは、このボールはクリップと一体化されているように見えますが、実は別パーツなのです。クリップを持ち上げて動かしてみると、クルクルと回るようになっています。シャツのポケットなどにさす時には、このボールがローラーの役割をしてくれて、ポケットへの出し入れがとてもスムーズにできます。

クロス モーフmorph ボールペン
ボディをツイストすることで、ペン先が出てきます。
外観のデザインはがらりと変わっていますが、クロスの血は脈々と流れているのを感じます。ペン先の出し入れは、往年のセンチュリー同様、ボディをツイストする方式がとられています。グリップを大きくするダイアルと、ペン先の出し入れは別々の機構になっていますので、ベストポジションのグリップはそのままに、ペン先を収納することだってできてしまいます。クロスと言えば頑丈なボディで永久保証が有名ですが、この複雑な機構を持ったモーフにもしっかりと永久保証が付いているのです。老舗ペンメーカーの底力を感じざるを得ません。



ベストポジションという楽しさ

クロス モーフmorph ボールペン
「モーフ(morph)」とは、ラテン語で形が変化するという意味があるそうです。既成の形に使い手が無理やりあわせるのではなく、一人ひとりに応じて形を変えて合わせてくれるペン。ちょうど、自分の体に合わせて仕立てたスーツのように、しっくりとくる書き心地を楽しむことができます。


■ クロス モーフ 5,250円 (ブルー、レッド、シルバー)

<関連リンク>
クロス・オブ・ジャパン オフィシャルサイト
おススメINDEX 「デザインのよいペン」
ガイド記事「グリップが膨らんだ低重心ペン ロットリング エクステンション4in1」
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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