気軽に羽織れるジャケットを注文する
中縫いの風景です。写真は担当してくれた中野さんです。前回同様に石川さんもチェックしてくれました。 |
前回紹介したポーター&ハーディングのハリスツイードを使って、銀座のテーラー、羊屋でジャケットを作ってもらった。
一般にコシのある肉厚のツイード素材でオーダーする場合、メンズファッションの源流であるイギリスらしさを出すために、カッチリとした厚い芯を入れ、肩パッドもしっかりしたものを入れたりすることが多い。
良く言えばサヴィルロウ的、悪く言えば鎧のようなジャケットが出来上がってしまう。これはこれで好きなのだが、下手をすると普通のオヤジっぽくなってしまう。それにハリスツイードそのものがトラッド過ぎるし・・・。
ということで今回はもっと気軽に羽織れる、散歩用&気楽な仕事向きのジャケットにしたかった。
中縫いの作業を終えてホッとしたところ。この段階になるとほぼ出来上がりが予想できます。 |
で、今回も羊屋の中野さんと石川さんにあれこれと相談。それなら、通常のスーツやジャケットを作るときとは違った仕立て技術(テーラーリング)によって、「軽さと着心地のよさを実現しましょう」という有り難いお言葉を賜った。
じゃあ、「アンコンジャケットかな」と思った人は間違いです。芯地や肩パッドをすべて省略した、いわゆるアンコンジャケットにすると、ただの既製品になってしまうし、何よりもテーラーならではの技術を生かしたジャケットとは言いにくい。例外としてベルベストのスフォデラートはちゃんと作っていると思う。
こういうジャケットはアパレルメーカーがやればいいことで、羊屋がやることではない。そういうことで、今回はハリスツイードというヘビーな生地を使いながらも、軽さと着心地、さらに見ためのカッコ良さを追求したジャケット(という難題)をお願いした。
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