スーツ・ジャケット/スーツ・ドレスビジネス

羊屋 感動を呼ぶスーツ 後編(3ページ目)

お客さんの一人一人に対して、非常に丁寧にスーツを作っていくテーラーの羊屋。今回は着心地を実感するために一着仕立ててもらった。後編では二回目の仮縫いから完成までを紹介する。

倉野 路凡

執筆者:倉野 路凡

メンズファッションガイド

お客のことのみ考えて・・・。


羊屋
地衿つけの工程。

採寸や仮縫い、取材を通して思ったことは、羊屋の仕事はとても細かいということ。

一つ一つの作業が凄く丁寧なのだ。真剣にいいスーツを作ろうとしていることが伝わってくる。

テーラーによってはオーダーメイドとはいえ、ハウススタイルを作って、そのスーツにお客さんを合わせようとするところもある。

羊屋はハウススタイルというものを作らず、お客さんのことのみ考えて、何もないところから創造していくのである。

羊屋
袖つけの工程。

たとえば2つボタンや3つボタンという簡単な選択肢だけでなく、お客さんの雰囲気や体型などを考慮して、もっともしっくりとくるボタン位置を決めていく。

ポケットの位置や形、ラペルの幅、ゴージの位置、トラウザーズの太さなども同じである。

お客さんの要望があればスーツに反映するのだろうが、簡単な好みだけ伝えて、あとはお任せするのが正しい気がする。そのほうが羊屋の実力を最大限に引き出せる(利用できる)と思う。

既製スーツやパターンオーダーのスーツだと、流行という言葉も輝いて見えるが、フルオーダーの世界では流行はたいして意味がなく、大切なのは似合うかどうかなのである。

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