お客のことのみ考えて・・・。
地衿つけの工程。 |
採寸や仮縫い、取材を通して思ったことは、羊屋の仕事はとても細かいということ。
一つ一つの作業が凄く丁寧なのだ。真剣にいいスーツを作ろうとしていることが伝わってくる。
テーラーによってはオーダーメイドとはいえ、ハウススタイルを作って、そのスーツにお客さんを合わせようとするところもある。
羊屋はハウススタイルというものを作らず、お客さんのことのみ考えて、何もないところから創造していくのである。
袖つけの工程。 |
たとえば2つボタンや3つボタンという簡単な選択肢だけでなく、お客さんの雰囲気や体型などを考慮して、もっともしっくりとくるボタン位置を決めていく。
ポケットの位置や形、ラペルの幅、ゴージの位置、トラウザーズの太さなども同じである。
お客さんの要望があればスーツに反映するのだろうが、簡単な好みだけ伝えて、あとはお任せするのが正しい気がする。そのほうが羊屋の実力を最大限に引き出せる(利用できる)と思う。
既製スーツやパターンオーダーのスーツだと、流行という言葉も輝いて見えるが、フルオーダーの世界では流行はたいして意味がなく、大切なのは似合うかどうかなのである。
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