採寸方法、木型などもクラシック
メジャーは使わずに、この紙テープで採寸するそうです。ジョン・ロブで習った方法を実演してくれました。 |
ジェイソン氏/これは足を採寸するときに使う紙テープです。人によって方法はいろいろあると思いますが、メジャーを使うとその数字に惑わされしまうことがあります。
メジャーで採寸して数字を用紙に記入するのも効率的ではないと思います。ですからこの紙テープで計測して、左右それぞれの足がわかるように印をつけます。
これは私が考えたアイデアではなくジョン・ロブで習った方法です。おそらくジョン・ロブ以前から存在している方法だと思います。
倉野/ラスト(木型)はやはり木ですか?
ジェイソン氏/もちろん! エアドライした木製のものを使っています。カスタマー(顧客)がエレガントですから、靴づくりにもエレガントなスタイルにこだわります。プラスチックは触ったこともありません(笑)。
メダリオン部分の型紙です。めったに見る機会がないので写真撮っておきました。 |
ジェイソン氏/フェルトを使っています。コルクだと履き続けると崩れてしまいます。どうしても体重がかかるため内部で分散してしまうんです。
その点フェルトは大丈夫。ただフェルトの工程は作業が大変なのでほんとうは嫌なんです(笑)。また靴によってフェルトの厚さを変えたりもします。
倉野 心の声/フェルトを使う靴職人さんもいるということは知っていたので、まったく驚かなかったのだが、この時点では普通の手芸教室で使うようなフェルトだと信じていた。
後日気になったので、ヒロ・ヤナギマチで知られる柳町さんに電話して確認したところ、ボクが思っていたフェルトではなく、どうやらルーフィングフェルトというものらしい。ジェイソン氏もこのフェルトを使っていたのだろう。(追加取材なし)
このルーフィングフェルトというのは、タールを使ってフェルトを加工したもので、撥水性があるとのこと。靴にも最適なのだろう。英国では屋根葺きにも用いられるフェルトだそうだ。タールってあのドロドロした真っ黒の臭いやつかなあ~。まあ、触りたくはないな・・・。
会場にはOLD HATの商品が並んでいました。けっこう欲しいものがありました! |
ジェイソン氏/日本でも優れたシューメーカーが出てきています。来日する度にレベルが上がっていると感じます。
ただフランスやイタリアの靴の影響があったりして、すべてがミックスされた靴が目につきます。ファッションの影響が強いのでしょう。
これは日本だけの現象ではなくて、オーストリアでもそれを感じます。オーストリアにしても、すでに自分の国の製造方法やスタイルが確立していたのに、そこから離れてフランスや他の国のスタイルを真似し始めている。
流行というものを非難しないが、ビスポーク靴の世界に流行が入ってくることには懸念してしまう。大切なことは履いて心地よいかということなんです。
倉野/日本で印象に残っている靴はありますか?
ジェイソン氏/ヒロ・ヤナギマチは凄くいい。あと、スピーゴラの鈴木幸次かな。以前見たときは感じなかったが、最近見たら素晴らしかった。
で、その後はパーティー会場に最後まで居座り、会場に来られたOLD HATの常連客といろいろ話し込んでいました。多くの方がビンテージウェアだったので面白かったです。
当日は、英国製のパターンメイドのジャケットのお披露目があったり、ネクタイやハンチングなども販売していました。
メンズファッションの源泉は英国にあるわけで、しかもここOLD HATは厳選したビンテージものがメインだから、ほんと勉強になります。
年内にもう一度ジェイソン氏の受注会があるようなので、興味のある方はオーダーしてみてください。
詳細はOLD HATに聞いてくださいね。ホームページにジェイソン氏のコレクションが載っていますから、参考になると思います。
お問い合わせは、
【OLD HAT】
東京都渋谷区神宮前 6-34-14
TEL 03‐3498‐2956
FAX 03‐3498‐2958
営業時間 12:00~20:00
年中無休
http://www.oldhat-jpn.com/