男の腕時計/その他の国の時計

時計師マーティン・ブラウンの新しい試み(2ページ目)

時計界は多士済々。とくに才能にあふれる時計師ブランドは、ユニークな機構やデザインが興味深い。先日来日したドイツ人時計師のマーティン・ブラウンもその一人。宇宙をテーマに掲げる独特の世界を紹介。

執筆者:菅原 茂

限りなくリアルな天体表示に挑む

1月に来日したマーティン・ブラウンは、2007年発表の話題作「セレヌ」を携え、その仕組みについて自身がプレゼンテーションを行った。この時計は、腕時計としては最大級の大きなムーンフェイズ表示に特徴がある。しかも、その月面の描写や満ち欠けの推移が、いわば超リアルなのである。

マーティッン・ブラウン「セレヌ」
「セレヌ」。画期的な大型ムーンフェイズ表示を備えるこのモデルで、天文時計がまた一歩前進。文字盤にメテオライト(隕石)を用い、いっそう宇宙のイメージを強調。自動巻き、18Kローズゴールド。241万5000円

従来のムーンフェイズは、月を描いたディスクが回転しながら満ち欠けを表示する昔ながらの機構に基づいているが(2007年11月8日掲載記事『太陰暦を表示するムーンフェイズ』参照)、マーティン・ブラウンの方式は、まさに逆転の発想。月そのものは動かず、それを覆い、影を作り出す黒いディスクのほうが移動するのである。しかもディスクはわずかに透けていて、その下に月が見える。さらに、彼のムーンフェイズ表示は、時刻とつねに連動して刻々と変化する。月が大きいだけに、その微細な変化さえ肉眼でわかる。表示誤差は、122.5年で1日という精度も驚きだ。

彼自身はこのモデルについて、「これまでのムーンフェイズは、どれも簡略化した擬似システム。私たちが実際に目にする月の姿とはかけ離れている。そうした長年の間違いを正すために、限りなくリアルなムーンフェイズを開発した」と説明。これもまた、天体に対する尽きせぬ想いがあるからこそ実現したモデルなのである。

マーティン・ブラウンは、昨年よりフランク・ミュラーを中心とするウォッチランド・グループに移籍。ムーブメントの独自開発とともに、さらなる精妙な時計づくりに意欲を燃やしている。次なる新作では、どんな天体時計に挑むのだろうか。

【問い合わせ先】
アーム・オルロジュリ(ワールド通商) TEL03-6226-3210

【関連ガイド記事】
太陰暦を表示するムーンフェイズ
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