輸入車/注目の輸入車試乗レポート

ボクらが思う以上に真摯なクルマ、カマロ(2ページ目)

7年ぶりに5代目として登場したシボレーカマロ。初代のモチーフを現代に蘇らせたスタイリングの新型は、真摯なクルマ造りの結果、アメリカ味の濃いクルマとして誕生しました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

オススメはあえてV6、でも相当に濃いアメ車

シボレーカマロ
サイズは全長4840×全幅1915×全高1380mm。3.6リッターエンジンは最高出力308ps/最大トルク370Nm、6.2リッターは最高出力405ps/最大トルク556Nmを発生する。燃費はアメリカEPA燃費公表値(市街地走行)で、3.6リッターが約7.7km/l、6.2リッターが約6.8km/lとなる

シボレーカマロ
Mシボレーカマロ
ターンランプ付きドアミラーとバンパー下部に配置されたリアウインカーは日本専用デザイン
それはさておき。カマロそのものについて。

5世代目である。4代目が02年に生産を終えていたから、久しぶりの復活。その間、リーマンショックを迎えるまで、この手のクラスは大リバイバルブームに湧いていた。フォードマスタングしかり、ダッジチャレンジャーしかり。そういう意味では、カマロがここまで出遅れてしまったことを指して、旧GMは怠慢のそしりを受けても仕方ない。

もっとも、遅れたぶんだけ、クルマとしては上々の仕上がりをみせている。全く新しいグローバルFRコンポーネンツ/ζ(ゼータ)プラットフォーム(というか、古いアーキテクチャーでもいいから、ちゃっちゃと作ってちゃちゃと儲けておけば良かったのにね!)を用いて作られており、直噴3.6リッターV6もしくはコルベット由来の6.2リッター気筒休止付V8を積んで、6速オートマチックを組み合わせた。そこにかぶせられたのが、初代カマロのモチーフを現代的に蘇らせたスタイリングというわけだ。

間近に見て思うのは、随分と見栄え質感の出し方が上手くなったなということ。面構成や隙間処理に“なげやり”なところがなく、大胆なデザインが上手くまとまってみえる。このあたりは破綻直前のGM各乗用モデルには既に現れていた“いい兆候”ではあった。

インテリアのデキもいい。これまたノスタルジックなデザインではあるけれども、逆に新鮮だ。決して高級ではないが、とはいえ安普請にも見えない。デザインとマテリアルの使い方にメリハリを加えることで、上手く“誤摩化した”。このあたりは破綻前から、レクサスや欧州プレミアムブランドのインテリアをよく研究した成果である。ボクらが思う以上に、彼らは真摯にクルマ造りに取り組んでいたということを、覚えておいて欲しい。

ちなみに、GMの役員が自家用ジェットやヘリで移動したことで一斉に非難を浴びた。これはとんでもない感情論だったというべきで、世界的大企業のボードメンバーが、ちんたらクルマで移動して何時間も浪費する方が会社としては損失というべきである。

シボレーカマロ
センター部に設置された水温計などのアナログ4連メーターや、ホールド性の高いシートを採用しスポーティさを演出。ちなみに、ナビはオンダッシュタイプのみがオプションとして設定される

カマロは乗ってみても実に雰囲気のあるクルマだった。アメ車に乗った!という感覚もさることながら、カマロに乗っている!というどこか突き抜けた格好よさを感じる。これからのニッチなクルマには、こういうユニークな感覚が絶対に必要だろう。実用車はどんどん無味乾燥になっていくからだ。

個人的には、V8のいかにもマッスルカー的なパフォーマンスに後ろ髪を惹かれつつ、よくできたV6を推す。V8に比べてほどよく力みの抜けた足の動きと、タメの利いたエンジンパフォーマンス、そして反応のいいボディで、決してだるさを感じさせない。逆に、V8よりも大らかなクルージングが楽しめ、そこから醸し出されるライドフィールがどこか雄大なアメリカ大陸を想像させてくれるのだ。そういう気分こそが、日本人にとってのアメリカ車の魅力でもある。

日本人は、アメリカ車らしいアメリカ車だけが欲しい。謳い文句はハイブリッドだろうがV8だろうが、何でもいいけれども、アメリカ味の濃いクルマだけ輸入してくれればいいと思う。

カマロは、相当に濃いアメリカ車だ。当たり前だけど。
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