シトロエン/シトロエン

大らかで人間的、唯一無二のC6(2ページ目)

かつてオーナーとしても乗っていた、シトロエンのフラッグシップサルーンC6。改めて1週間乗り通してみると、多くのシトロエンファンが酔いしれる理由の一旦に触れたような、面白い発見がありました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

もうこういうクルマは出てこないかも……

シトロエンC6
サスペンションには油圧とエアを使ったハイドロニューマティック・アクティブサスペンションを採用。走行状況などにより車高の調節を行うことが出来る

シトロエンC6
シトロエンC6
2900mmのロングホイールベースにより広い室内を実現。電動スライドシートなどで後席をより快適にするラウンジパッケージをオプション(29.5万円)で採用する
実家の父と母が上京したので、都内のホテルまで迎えにいき、一緒にドライブを楽しんだ。後席の広さと乗り心地にふたりとも満足していた様子で、フランスじゃ大統領だってこのクルマだ、なんて話をしたら、いっそう感心している。そういう話だって現実味を帯びる力が、このクルマにはあるということ。その割に、この奇妙奇天烈なカタチに関しては、両親ともにノーコメントで、クルマにあまり関心のない向きにはカタチの異様さもそれほどピンとこないのかも知れない。

高速クルージングで快適なのは、同乗者だけじゃない。ドライバーだって、至極、気分がいい。路面にへばりついて離さないドイツ系とも、路面に遠慮しながら従う国産系とも、はたまた路面と喧嘩しながら突き進むイタリア系とも違って、なんか道の裏側と肩を組んで手をつないで仲良しこよしで走る感覚。だから慌てようにも慌てる気にならなし、仮に慌ててしまっても素晴らしい安定感をみせる。こんなクルマ、ほかに今、もうない。

それにさあ、この表情がたまらないじゃない?クルマの顔って、今、どんどんいかつく怖く恐ろしくなってきている。吠え面が多いし。シトロエンも例外じゃない。けれど、デザイン世代がひとつ古いこのC6には、まだそれがない。ユーモラスだけれども、やるときはやるという意思の強さもある。だから、高速で走っていると、けっこう前もどく。デザインだけで威嚇してないというか、何と言うか。

レトロモダン系でもないかぎり、当分、こんなクルマは出てこないかも……。そんな気配を知ってか知らずか、最近、近所でC6をよく見かける。中古車相場もなかなか下がらないってことは、見る目のある人が買い始めたということ。新車がなくなってから買いたい人が殺到するパターンだね、きっと。ルノーのアヴァンタイムみたいに。本当に欲しい人は、お早めに……。
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