ハマったら抜け出せない、路面を舐めるような走り

シトロエンC5

2008年に登場したアッパーミドルクラスのサルーン&ツアラー(ツーリングワゴン)。国内ではベーシックなセダクション(サルーン 399万円、ツアラー 419万円)とレザーシートなど装備を充実させたエクスクルーシブ(サルーン 449万円、ツアラー 469万円)をラインナップする。サイズはサルーンが全長4795mm×全幅1860mm×全高1470mm、ツアラーが全長4845mm×全幅1860mm×全高1490mm

シトロエンC5

ハイドロニューマチックサスペンションの進化版、ハイドラクティブ3を装備。路面状況や走行状態に合わせてロードクリアランスを調整するハイトコントロール機能や、ノーマルとスポーツのモード切り替え機能を備える

シトロエンというと、多くの方が小柄なクルマを連想するらしい。古くは2CVのような名車もあったし、今でも売れ筋の中心はC3やC4といった“数字の小さい”モデルだ。

一方で、シトロエンには古くから割と大きめのモデルがあって、それらが独特な走りのテイストを提供し続けてきたという側面もある。さらに、現代の事情に照らせば、大きいモデルは値段も高いわけだから、そのぶん、シトロエンらしい装備を採用することができたりもする。

C5は、いわゆる欧州Dセグメントに属するサルーン&ワゴンシリーズで、プジョー407の兄弟車。BMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスと同じクラスに位置するモデルである。407よりもぐっとラグジュアリィな仕立てになっており、とくに内装の雰囲気などは、独プレミアムセグメントと比べても遜色ない、というか場合によっては“上”と感じるほどの仕上がりだ。

シトロエンC5

ステアリングは固定式のセンターパッドの左右に主要なコントロールスイッチを配置したセンターフィックスステアリングを採用

最近のプジョー&シトロエンもダウンサイジング戦略を採っていて、C5のエンジンラインナップは1.6ターボに絞られた。下から上まで、BMWと共同開発による1.6Tの仕様違いを使い分けている。実用トルクが十分にあるこのエンジン、C5を走らせても、従来の2リッターエンジンはおろか、V6にも負けない力強さを得た。

Dセグメントに1.6リッター。20世紀なら、そんな安物グレード、とハナで笑われていたことだろう。今は21世紀。小さい排気量でどれだけ大きなクルマを効率よく動かせることができるか。そこに各ブランドの知恵が注ぎ込まれている。

シトロエンC5

連続可変バルブタイミング機構などを備える、最高出力156psを発生する1.6リッター直噴ツインスクロールターボを搭載。6ATが組み合わせられる

確かに、このクルマを多くの方に紹介するのは、小さいダブルシェブロンに比べて難しい。魅力的なライバルが多く存在するからだ。ひとつだけ、他のどのクルマにもない持ち味を披露しておくとしたならば、それはやはり“乗り心地”に尽きる。シトロエン伝統のシステムが進化して搭載された。路面を舐めるようにして走る感覚は、いかにもシトロエンらしい。

乗り心地を一番に考えたい人は、一度試してみるべきだと思う。ハマって抜け出せなくなったとしても、責任は負えないが。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。