車両感覚は掴みやすく、機動力が増した
最高出力105ps/最大トルク148Nmを発生する1.6リッターエンジンに、5MTと4ATが組み合わせられる。フロアを二重構造に、ホイールハウスの内側に15mmの遮音材を挿入することで静粛性を向上させた。旧型と比べ体感騒音を50%軽減させているという |
これ、やっぱり便利でよくできたファミリィカーだと思う。室内は相当に広く、荷物もたっぷり入るし、収納ケースも盛りだくさん。加速はちょっとかったるいけれど、乗り心地は相変わらず秀逸で、車両感覚も掴みやすい。しかも、こんどのは高速道路でもとても快適。なるほど、旧型よりでかくなって、“安格好よさ”は薄まったかも知れないけれど、ファミリィカーとしてのパフォーマンスは相当に上がっていた。要するに、フランスの安価な家族向けモデルとしては、真っ当に進化したというわけだ。
実際問題として、この大きさが何かの不都合になるということは、自宅のガレーヂスペースが狭いといったパーソナルな事情を除けばほとんどなかった。かえって、車両感覚が掴みやすくなったぶん、機動力が増したとも思える。
そこで、妙案を思いついた。やっぱりコイツはグランドカングーにして、前のカングーも生かせばいい。きっとどこかの国で商用車用に作っているんでしょ?
残念。どうやらいっせいに新型へと切り替わるのだそう。でかくなったのは、今や半数に達するファミリィカーニーズに答えた結果であり、また、商用ニーズの要望に沿ったものでもあるらしい。つまり、幅のでかいモン(EU規格コンテナなど)を積めるようにせんかい!というわけ。狭い道が多いヨーロッパじゃ、旧型の方が便利でしょうに、と思ったが、彼らは全幅はあまり気にしない。それよりも、積み込みやすさと全長を気にするんだそう。
だったら、全長が伸びたのダメじゃない?なんと、後ろを削ったショートバージョンがあるんだって……。やっぱり、心底ヨーロッパのクルマなんだよね、カングーって。だったら日本に住む私たちは、精神的には旧型と同様に、ヨーロッパの香りをぷんぷんさせた新型カングーを、これまでとは違う何かほかのカタチで楽しむ方法を見つけた方がよさそうだ。
何だろ。そうだなあ、改造キャンパーのベース車とか、どう??
室内は使いやすさを追求。センターコンソールに移動したシフト、1日に数百回も操作する郵便局員の要望を取り入れてデザインされたサイドブレーキなどが運転席に備わる。高い天井を生かしたフロント・リアオーバーヘッドコンソールなど、計77リッターの収納も便利 |
リアシートだけでなく助手席シートも可倒式のもの。荷室は660~2866リッターの容量をもつ。2段階に高さを調節できるトノボードなどを備え使い勝手も良い |